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第263話

紗希はこの光景を見て、自分も驚いた。

彼女は、兄達が病院で拓海と顔を合わせるとは思わなかった。

大変なことになるのではないか?

彼女はまだ、兄達に自分と拓海の関係を知られたくなかった。

知ったら、平野の性格からして、絶対に拓海を追い出すだろう。

ダメだ、絶対に止めなければならない!

平野は目の前の拓海を睨みつけ、厳しい表情のまま弟たちを引き連れて病室に入った。

一瞬にして病室はさらに狭く感じられた。

拓海は小林家の人々が現れたのを見て、目に疑問の色を浮かべた。

ここに何しに来たのだろう?

しばらくすると、北は果物を持って戻ってきた。

平野兄たちが来たのを見て、表情が少し良くなった。

北は拓海を見ると、非常に無礼に言った。

「拓海、まだここにいるのか?」

拓海は眉をひそめた。

「なぜ僕はここにいてはいけないんだ?」

少なくとも紗希を救ったのは彼なのに、ここに立っていることさえできないのか?

俳優の直樹は一歩前に出て、拓海の肩に手を置いた。

「拓海、なぜここにいてはいけないか、説明しよう」

次の瞬間、拓海は病室から押し出された。

直樹はドアの前に立ち、声を低くして言った。

「あなたは俺たち家族の邪魔をしていることを知っているのか?そんなに邪魔をするのが好きなのか?」

「??」

拓海は疑問に思った。

家族の面会?

もしかして、紗希と北はもう両親に挨拶を交わしたのか?

その時、裕太は駆けつけてきた。

「社長、あの誘拐犯たちはもう捕まりました。今後何か対応が必要ですか?」

拓海は先ほどの光景を思い出し、冷たい表情で言った。

「余計なことをする必要はない」

紗希は今たくさんの男性に囲まれていて、彼が何かする必要は全くなかった。

病室内。

紗希はベッドの頭に寄りかかって、目の前の兄達を見た。

「平野兄さん、本当に大丈夫だよ。信じられないなら北兄さんに聞いてくれ」

北は果物を脇に置いた

。「紗希、しっかり休むんだ。ここに果物があるから、忘れずに食べるんだぞ」

平野は最初たくさん言いたいことがあったが、今紗希が無事なのを見て、何も言えなくなった。

紗希の安全より大切なものはなかった。

南は携帯電話を彼女に渡した。

「これを持っていろ。何かあったら俺たちに電話しろよ」

北はこう言った。

「心配しない
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