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第177話

紗希は携帯電話のリンクを風間に送った。「先輩、ちょっと見てください」

その時、ひざまずいていた女は紗希を見つめて言った。「紗希さん、どうか許してください。今回は本当に私が間違っていました。きちんと調べもせずに難癖をつけてしまって、全て私の過ちです」

紗希の表情は複雑で、家が買収されただけで謝罪に来たとは信じられなかった。

彼女は躊躇いながら口を開いた。「なぜ私を探しに来たの?」

相手も少し驚いたようだったが、すぐに説明した。「紗希さん、本当に自分の間違いに気づいたんです。今回だけはどうか許してください」

「まず立ってください」

「紗希さんが許してくれないなら、私は立ち上がりません」

相手は厚かましくも地面にひざまずいたまま、立ち上がろうとしなかった。

紗希が前のことは気にしてないと言うと、相手はようやく立ち上がった。そして恐れるような目つきで、以前の横柄な態度は全くなかった。

彼女が去った後、スタジオはようやく静かになった。

隣にいた風間もその内容を読み終えた。彼は複雑な目つきで紗希を見た。紗希の背後にこれほどの力があるとは思わなかった。結局のところ、この家族は会社が破産したとはいえ、何代ものお金持ちだったのに、紗希に謝罪のためにひざまずくなんて。

風間は小声で言った。「紗希、ちょっとオフィスに来てくれ」

紗希は風間が何のために呼んだのか分かった。彼女はオフィスに入って言った。「先輩、実は私もこの間何が起こったのかわからないんです。今私も頭が混乱しています」

「わかった。お前が言いたくないなら、聞かないよ。この件はいい結果になったんだから、それでいいんだ」

紗希は先輩が信じていないことを分かっていたが、これ以上説明しようとはしなかった。

彼女は自分の席に戻りると、思わずこの会社の状況を検索し始めた。突然買収した会社が誰なのか知りたかった。

彼女の頭にある可能性が浮かんだが、あり得ないと思った。

紗希が検索してみると、買収側が三井不動産グループだと分かった。

まさか詩織の家の会社なの?

紗希はますます不思議に思った。昨日レストランで詩織に会った時は、詩織は「兄のサポートがあるから」と彼女を脅していた。

なのに今日はこんなにタイミングよく詩織の兄がこの会社を買収したなんて!

詩織は一体何をしようとしているの?

彼女がニュースを
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