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第7話

彼女は言い終わると、自慢げにその会社との契約書を送ってきた。

私は画像を開き、ざっと目を通す。

おや、この契約書、どこもかしこも罠だらけじゃないか。

パーティーに出席すると、前作で共演した男優の裕也に会った。

彼は最近、大規模な制作に出演することが決まり、前途洋々らしい。

「高橋監督のLINEを教えようか?この作品の主演女優はまだ決まっていないんだよ」

裕也は笑いながら言った。

私は遠慮せず、即座に連絡先を交換した。

帰宅途中、彼からLINEが届いた。

「これ、星良のネックレス?」

私は首元を触ってみたが、何もない。ファンからもらったネックレスがなくなっていたなんて。

幸運にも彼が拾ってくれていた。

しかし、その安堵も束の間、裕也は厳しい口調で音声メッセージを送ってきた。

「これ、どのファンからもらったんだ?」

「普通のネックレスじゃない。中に発信機が入っている」

「これで行動がすべて追跡されていたんだ。過激ファンがよく使う手口だ」

その一言で、私は頭が真っ白になった。

発信機?このネックレスは数日前、ファン後援会の大ファンがくれたものだ。だからこそ、ずっと身につけていた。

そのファンは森和樹という名前で、前世から見覚えがあった。毎回のファンミーティングに彼は必ず参加していた。

ネット上で叩かれるたび、彼のような忠実なファンが背後にいることを思うと、希望を見出していた。

私が信じていた忠実なファンが、実は過激だったなんて。

私は震える手でXを開き、彼とは互いにフォローしている数少ない存在だ。

彼の投稿は頻繁で、普通の追っかけファンのように見えた。

しかし、しばらく前に投稿された猫を抱いている写真に目をやった瞬間、私は全身が凍りついた。

和樹の左手首には、黒っぽいホクロがあった。

前世で私を殺した覆面男の手首にも、同じホクロがあった。

これは偶然か?

いや、違う。

ネックレスの発信機を思い出し、顔が真っ青になった。

和樹はただの過激ファンではない。彼は私の命を狙う殺人犯だ。

エレベーターのドアがゆっくりと開き、私はすでに自宅のドアの前に立っていた。

その時、裕也から電話がかかってきた。

下を向いてスマホを見ていた私は、外に誰かが立っていることに気づいた。

その人物は一歩も動かず、ずっと私を見つめていた。
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