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第5話

でも、それがどうしたの?

私は肩をすくめ、彼女を見つめる目には嘲笑が込められていた。

「汚れた過去は、一生消えないよ」

「ステージに立つたびに、アンチは汚い過去を思い出すだろう」

「口を閉ざしても、たった一晩で40万人のフォロワーを失った事実は消えない」

この言葉は由佳里の痛いところを鋭く突いた。

由佳里の顔色が一気に冷たくなり、彼女は他のメンバーに目配せをした。

その合図に気付いたメンバーたちはすぐに楽屋のドアを閉め、私を囲み始めた。

楽屋には監視カメラはないし、この小さなグループでのいじめは彼女たちのいつものやり口だった。

前世では私もこういう仕打ちに何度も耐えてきた。

でも今は、もう誰が恐れるものか。

由佳里が熱いお湯の入ったカップをつかんで、私の太ももにかけようとした瞬間。

私は笑みを浮かべながら、鞄から取り出した小さなナイフを彼女の首に突きつけた。

全員が呆然とし、由佳里も動けなくなった。

「人をいじめるのが好きでしょ」

私は由佳里が持っているそのカップに注目した。興奮のせいで湯が何滴か溢れていた。

彼女はいつも、人の隠れた場所に熱湯をかけるのが好きだった。

今度は彼女の番だ。

「自分にかけろ!」

私は冷たい声で言った。

由佳里は怒りを露わにしながら私を睨んだが、私がナイフの刃を彼女の頬に近づけた瞬間、彼女は体を固くした。

「殺す気はないけど、もし顔を切り裂いたら…」

私は目を細め、楽しげな声で続けた。

「私は三年も経たないうちに出所するけど、由佳里の人生は?」

由佳里は動けず、私はナイフの先をさらに彼女に近づけた。

彼女は歯を食いしばり、沸騰するお湯を自分の体にかけた。

熱さに顔を歪め、悶絶していた。

「満足した?」

彼女は震えた声で私に問いかけた。

私は笑顔を浮かべて、「いいえ」とだけ答えた。

次の瞬間、彼女を引きずってトイレの個室に連れ込んだ。

彼女は目を見開き、必死に首を振って叫んだ。

「何をするつもり!これ以上やったら警察を呼ぶから!」

警察?

彼女がいじめるのはいつも監視カメラのない場所だ。今、私が彼女をいじめているわけだけど、どこに証拠がある?

証拠がない限り、ただの言いがかりにすぎない。

「こんなに喋って、喉が渇いたでしょ?水をどうぞ」

私は満面の笑みを浮かべ、目の前
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