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第7話

祖母が初めてこれらの詳細を耳にし、屈辱と怒りに押し潰され、息が詰まり、その場に倒れ込んでしまった。

私は葵を放して必死に祖母を抱き起こそうとしたが、触れることができなかった。

その時、中村翔太が意識を取り戻し、急いでベッドから降りて祖母に駆け寄った。

「おばあちゃん」

祖母は亡くなった。

この世の不公平さを呪い、私の唯一の祖母が、その場で怒りのあまり命を落とした。

なぜ、私と娘の命を犠牲にしてもまだ足りないのか?なぜ祖母まで巻き込むのか。

私は祖母の魂に会って、直接謝罪の気持ちを伝えたかった。

しかし、それは叶わなかった。

中村翔太が私と葵の遺骨を彼の寝室に持ち帰ったからだ。

中村翔太は、ほとんど狂っているかのようだった。

彼は私と葵の姿を模した等身大の木彫りの像を彫り、それをホルマリン漬けにして一ヶ月後、私と葵の遺骨をそれぞれその像の腹の中に入れた。

彼はホルマリンの強烈な刺激臭を感じないかのように、毎日、私の姿を模した彫像にしがみついて離さなかった。

「千鶴。知ってるかい?子供の頃、両親は僕をよく叩いたり怒鳴ったりして、高い期待をかけていた。大金を稼いで、自分の運命を変えろってね。後になって、本当の親が僕を見つけてくれた。僕はもともと大金持ちの息子で、贅沢な生活を送るべきだったんだ。僕は、僕の半生の富を奪った中村優斗を憎んでいた」

「でも君も、本田葵の前半生の富を奪った人間だった。だから、君を中村優斗と同じカテゴリーに入れざるを得なかった。僕は無意識のうちに、君を憎み、嫌っていた。それが、長年居場所を奪われてきた『本物』として当然の行動だと思っていたんだ。

本物は当然、本物同士一緒にいるべきだから、僕は本田楓と同居していた。でも実は、それ以外にも理由があった。本田楓は、かつて僕が愛して手に入れられなかった人だったからだ。彼女は当時、お金のために僕を捨てて、中村優斗と一緒になった。それが悔しかったんだ。

でも君が死んで、本当に消えてしまった時に、僕は気付いた。この世界で一番愛しているのは君だと。君が偽の令嬢だなんて全く気にしていなかった。どうすれば、君を取り戻せるんだろう。

千鶴、色々なことを経験した結果、僕が愛しているのは君だと気づいた。でも、僕はたくさんの過ちを犯した。君に許しを求めるつもりはない。ただ、毎日君たち母娘と話した
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