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第50話

 「安心してください、そんなこと絶対にしません。もしやったら、私も一緒に消してください。」

 桃は決して雅彦にその子供の責任を押し付けるつもりはなく、即座に約束した。

 雅彦の約束を得て、桃の心の重荷がやっと軽くなった。彼女は喜びに満ちてオフィスを出て行った。

 雅彦は桃が軽やかに去っていくのを見て、ますます眉をひそめた。

 この女は普段ロボットのように慎重だが、腹の中の父親不明の子供の話にすると、まるで別人のようになる。

 これは一体何なんだ?ただあの男を愛しているから、その子供が彼女の感情をこんなにも左右するっていうのか?

 そう考えると、雅彦は仕事に集中できず、目の前の書類を一気に押しのけた。

 ……

 海は非常に効率的で、間もなく手元の証拠をまとめて雅彦に渡した。

 雅彦は直接それを父親に送った。これらの年月、父親の体調も良くないので、彼は常に父親の気持ちを気にかけて、兄一家が台無しにしたことを表立って言っていなかった。

 しかし、正成一家は彼の限界に挑戦しており、話をはっきりさせた後、雅彦は彼らを好き放題にさせないつもりだ。

 永名は雅彦から受け取った証拠を見て、ますます顔色が悪くなり、手が震えていた。

 これらの年月、彼は長男一家が雅彦にどう接しているかを知っていたが、家庭の平和を望んでいた。特に、佐和という穏やかな子供がいることで、長男が心を入れ替えることを期待していた。

 しかし、今では彼らは収まるどころか、ますますひどくなっており。最初は会社の権利を争っていただけが、今は人の命を脅かすようになっている。

 このような行為は、彼の我慢の限界を超えている。

 永名はすぐに正成に電話をかけ、麗子を連れて急いで帰って来るように言った。

 正成は永名からの電話に少し首をかしげたが、すぐに麗子と一緒に菊池家の古い家に向かった。

 二人が家に入るや否や、永名は杖を振り上げて激しく打ちつけ、「まさか、お前たちがこんなに悪質だとは思わなかった。自分の兄弟にさえ手加減しないなんて、ただ家の財産を奪いたいだけでなく、彼の命まで狙っているのか!」と叫んだ。

 正成はその言葉を聞いて完全に混乱し、手を挙げて永名の杖を避けながら言った。「父さん、何を言っているんですか。私が雅彦を傷つけたなんて、いつそんなことをしたんですか。他人の中傷話を信
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