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第151話

  桃は急救室の前に座っており、その明滅する灯りをぼんやりと見つめていた。

 体が徐々に麻痺していくように感じていた時、正成と麗子が到着した。

 麗子は桃を見ると、怒りが込み上げてきて、桃に一発ビンタを食らわせた。

 全力で叩いたその一撃で、桃はよろめいて後ろに二歩下がった。

 「全部お前のせいなの?佐和がここに来るまでは元気だったのに、今ここで治療を受けているのは全部お前のせい?答えなさい!」

 桃は顔を抑えたまま、何も言わなかった。

 反論できない。

 この一連の出来事は、自分の意図したものではなかったが、結局は自分に関わっていることに間違いはない。

 万が一佐和に何かあれば、それは人の命に関わることだ。

 「もし佐和に何かあれば、絶対にお前を許さない、誓って言うわ!」麗子は桃の無抵抗な様子を見て、怒りが収まらなかった。

 彼女は手を振り上げ、さらに桃にビンタを加えようとしたが、その時、永名の力強い声が後ろから響いた。

 桃が振り返ると、永名が立っているのを見て、頭を垂れた。

 彼にどうやって顔向けすればいいのかわからなかった。

 永名は彼女の顔に赤いビンタの跡を見て、桃を引き寄せた。「桃さん、今日佐和が病院に入ったこと、雅彦と関係ある?」

 桃の頭はさらに下がった。「ごめんなさい、でも、雅彦さんを責めないでください。私のせいです」

 永名は心の中でため息をついた。もし以前、彼の息子をこんなに守っている嫁がいれば、彼は早くから喜びでいっぱいになっていたかもしれない。

 しかし今は……

 閉ざされた救急室のドアを見つめながら、彼は心の中で嘆息するしかなかった。これは運命の悲劇だ。

 ......

 雅彦はその場を離れて、道端に車を停め、タバコを吸い始めた。車内は濃い煙で満たされていた。

 気がつけば、タバコ一箱を吸い尽くしていた。空のタバコ箱を揺らしながら、雅彦の心はますます苛立った。

 あの女は今どこにいるのか?佐和の怪我を見守り、心配しているのか?その可能性を考えると、雅彦の心には殺意すら芽生えた。

 そんな時、携帯の着信音が鳴った。永名からの電話だった。

 雅彦は電話に出た。

 「雅彦、佐和が病院で治療を受けている。今すぐ来てくれ」

 雅彦は眉をひそめたが、最終的には承諾した。

 雅彦は聞いて、眉をひそめた
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