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第39話

とわこは言った。「ええ。無人運転システムを現実に普及させるのは、まるで夢物語のように思えるわ。どんなに高レベルな計算システムでも、人間の脳には勝てないんじゃないかな。私自身もこのプロジェクトに疑問を持っているんだから、投資家たちはなおさらよね」

「そんなに悲観的にならないで。お金持ちがプロジェクトに投資する時って、実用性じゃなくて創造性を重要視することが多いのよ。今晩パーティーがあるんだけど、集まるのはみんな二世たちなの。一緒に行かない?もしかしたら、投資してくれる人に出会えるかもしれないわ」松山瞳と言った。

とわこは苦笑した。「やめとく。二世はだめよ。親世代のお金持ちじゃないと意味がないわ」

「親世代のお金持ちもいるわよ。行ってみて運を試してみなさいよ!」松山瞳は本音を明かした。「実は私も行きたくないの。パパが私にお見合いを押し付けたのよ。だから、今晩は私の付き添いってことで、お願いできない?」

とわこは彼女に逆らいきれない。「うん」

夜の7時。

瞳は車を運転してとわこを市内の古くからある五つ星ホテルに連れて行った。

「とわこ、あとでホテルに入ったら、私たちは別行動にしよう。そうすればあなたも投資を引きやすくなるからね」松山瞳は提案した。

とわこはうなずいた。「もちろん、あなたが見合いのために来たのを忘れてないわよ。わたしは邪魔したくないの」

「はは、携帯電話をいつもチェックしておいてね。もし私が耐えられなくなったら、メッセージを送るわ」

「分かった」

二人はホテルに入り、一人ずつ宴会場へと入っていった。

とわこはドリンクコーナーに行き、ジュースを一杯取り、隅の方に場所を見つけて座った。

彼女はまず松山瞳の見合い相手がどんな人なのか見てみるつもりだった。

松山瞳の家は百貨店を経営していて、会社は上場していないが国内ではそれなりに有名で、家計はかなり裕福だ。

彼女の家が見合い相手として選んだ人は、間違いなく釣り合いが取れているはずだ。

あとは見た目、年齢、そして人柄がどうなのかを見るだけだろう。

しばらくして、清純で端正、どこか見覚えのある顔がとわこの視線に入った。

瞳の見合い相手……なんだか見覚えがあるような?

この男は、渡辺裕之ではないか?!

以前、一度渡辺裕之が三千院グループに来た時、三千院とわこと会ったことがあった。

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