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第44話

ボディガードがとわこを外に引き離そうとした際、大きな音を立ててしまった。

オフィスの中の人々がドアの方を見た——

常盤奏はとわこの細身の姿を見ると、椅子から立ち上がった。「三千院とわこ、ここで何してるんだ?」

とわこはすぐにボディガードの手を振り払い、服を整えた後、オフィスの中に歩み寄った。

「私は羽鳥教授を探しに来たの」彼女は常盤奏の前に立ち、一面好奇心満々で彼を見つめた。「あなたも羽鳥教授を訪ねに来たの?」

羽鳥教授は二人を一目見て、メガネを押し上げた。「あなたたち、知り合いなの?」

とわこは「よく知らない」と言おうとしたが、常盤奏が先に口を開いた。「羽鳥教授、私の件は必ずどうかご内密にお願いします」

羽鳥教授は「安心してください。医者にとって、徳を修めることが大事ですから」と答えた。

常盤奏は「それでは、お先に失礼します」と言って、部屋を出ていった。

羽鳥恵子教授はうなずいた。

常盤奏は長い脚を一歩踏み出し、とわこのそばを通り過ぎた際、彼女を一目見ただけで何も言わなかった。

彼女は少し混乱した。

彼はなぜ自分の質問に答えなかったのか?

さらに、羽鳥恵子教授と話している内容がなんだか謎めいていて、一体何を隠しているのだろうか?

「あなた、私に何か用ですか?」羽鳥恵子教授の声が彼女の思考を引き戻した。「あと十分で出かける予定なんだけど、何か質問はありますか?」

とわこはすぐに準備していた資料を取り出した。「羽鳥教授、お忙しいところ申し訳ありません。私は東京大学医学部の4年生、三千院とわこと申します。こちらは以前の教授の臨床事例に基づいて書いた論文です。インターネット上の資料を参照しましたが、詳細な内容が少なく、多くが私の推測に基づいています。誤りがあるかもしれないので、ぜひご意見を伺いたいのです。」

羽鳥教授は彼女が差し出した論文を受け取った。

……

常盤奏は車に乗った後、深い目で行政ビルを見つめた。

三千院とわこは医学生なのか?

彼女が芸術を専攻していることしか知らなかったが、情報が間違っていたのか?

彼は周防子遠に電話をかけた。

「子遠、以前調査した三千院とわこの資料によれば彼女は芸術を学んでいるとあったが、どうして彼女が医学部にいるんだ?」

周防子遠は「彼女は確かに芸術を専攻していますよ。A大で確認しました」と答
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