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第260話

とわこの目が一瞬揺らいだが、すぐに軽く笑った。「二人とも付き合ってこんなに経つのに、やっと初めて寝たの?本当に純情ね」

常盤奏は彼女の言葉に逆上し、顔が真っ黒になった。「まるでお前にたくさんの経験があるみたいな言い方だな。俺以外にも男と寝たことがあるのか?」

とわこは微笑みを浮かべながら答えた。「もちろん」

常盤奏の冷静な表情は一気に崩れ去った!

「とわこ!俺がまたお前を探すようなことがあれば、俺は犬だ!」彼は怒りを露わにしながら、大股で病室を去っていった。

とわこは彼が視界から消えるのを見届けながら、その笑顔が少しずつ消えていった。

これでいい。

彼はもう二度と彼女を探さないだろう。

これからはそれぞれが自分の人生を歩んでいく。

だけど、なぜだろう、心の中は少しも嬉しくない。

彼女は布団を抱きしめ、深く息を吸い込んだ。

そこには、まだ彼の残り香が感じられた。

病室のドアが開き、マイクが大股で入ってきた。

「とわこ、常盤奏に何かされたのか?彼は本当にひどいやつだ!本当なら俺が君を病院に連れて行くはずだったのに、あいつが先に連れて行ったんだ!」マイクはベッドの横に座り、彼女の額に手を当てた。

冷たくなっている。

熱はもう引いていた。

「彼が私を病院に連れて来たの?」とわこはまつげを軽く震わせながら、呆然とした。

「そうだよ!彼が君の家に来た時、蓮が彼に水をかけて全身びしょ濡れになったんだ。それで俺が彼を家に入れて着替えさせている時に、君が熱を出しているのを見つけたんだ」マイクは事情を説明した。「さっき彼が君に何か言ったのか?出て行った時、ものすごく怒っていたけど。」

とわこは興味を失ったように、淡々と答えた。「別に何も。家の布団まで持ってきたのはどうして?」

マイクは「彼が抱えて持ってきたんだよ!あいつは本当に力持ちだ!君をあんな風に担いで、俺も追い付けなかった」と言いた。

とわこはもう常盤奏の話を聞きたくなかった。

彼女は投薬瓶を一瞥し、「まだもう一本あるから、もう少し寝るわ」と言った。

「ゆっくり休んで」マイクは彼女に布団をかけ直してあげた。

三日後。

三千院グループ。

営業部は新たな注文を受け取った。

「常盤グループが我々のドローンを注文してきた!」営業部の部長は注文情報を何度も確認し、間違いがないことを確認し
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