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第259話

一晩寝て、金を渡して済ませる。

唯一の違いは、彼女が一般の娼婦よりもはるかに多く稼いでいるということだ。

小林はるかは歯を食いしばり、怒りで体が冷え切った。

「彼は本当に『尊重』って言葉を知ってるの!」と、小林はるかは机上の医学書を力いっぱい床に叩きつけた。

ボディガードは無表情で、「小林先生、社長はすでに十分尊重している。もし彼が尊重していなければ、あなたは一銭ももらえなかったでしょう」と言った。

「それは私が彼にとって価値があるからよ!」小林はるかは目を赤くして叫んだ。

「もしあなたに価値がなければ、とっくに追い出されていた」と、ボディガードは淡々と事実を告げた。「三千院さんは当時、社長から一銭も受け取らなかった。それどころか、三千院さんは特に従順だった」

「つまり、私が要求しすぎているってこと?」

ボディガードは答えた。「常盤夫人を喜ばせたほうがいい」

それだけ言って、ボディガードは書斎から出て行った。

小林はるかは大きなヒントを得た!

彼女が常盤奏に彼氏になるよう迫ったため、彼の反感を招いた。

だから、これ以上彼を強く押すべきではない。

ボディガードの言う通りだ!

彼女は常盤夫人の側から攻めるべきだ!

病院。

とわこは熱が下がり、体がずいぶんと軽くなった。

ひと眠りして目を覚ますと、病室の見慣れない環境に警戒心が湧き、すぐにベッドのそばに目を向けた。

そこには常盤奏が座っていて、彼女をじっと見つめていた。

彼がどうしてここにいるのか?

それに、どうして彼女は病院にいるのか?

「私……」と彼女が口を開くと、声がひどく枯れていて、喉が引き裂かれるように痛んだ。

常盤奏は温かい水を注ぎ、彼女を支え起こして飲ませた。

彼女が水を飲み終わると、昨夜から今日にかけて起きた出来事が頭に浮かんできた。

「もっと飲むか?」と彼は彼女に尋ねた。

彼女は首を振り、布団を引き上げながら、「あなた、どうしてここにいるの?誰が私を病院に連れてきたの?」と尋ねた。

病室には彼女以外に彼しかいない。

もしかして、彼が彼女をここに連れてきたのか?

彼女は途中のことをまったく覚えていなかった。

「マイクは外にいる」常盤奏は、彼女の警戒心と冷たい態度を見て
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