第251話

「奏、お水を少し飲んで」小林はるかは彼の頭を少し持ち上げ、水を口元に運んだ。「今はとても辛いと思うけど、お水を飲めば少しは楽になるわ」

……

宴会場。

とわこはかなり意識がはっきりしてきたが、酔っていない時よりも心が痛んでいた。

彼女はもう常盤奏と絡み合うことはできない！

このままではどんどん深みにはまってしまう。

「とわこ、あの小林はるか、ほんとに横柄だわ！」松山瞳が彼女のそばに来て慰めた。「あんな奴の言うことなんか気にしないで。自分が何者かもわからないで、まるで常盤奏を脅迫したのが他人かのように振る舞ってるし」

とわこはバッグを手に取り、去ろうとした。「彼女に腹を立てているわけじゃないの。自分に腹が立ってるの」

「あなたは何も悪くないのに」

「私は本当に愚かだったわ」とわこは自嘲気味に呟いた。「まだ彼に幻想を抱いてるなんて……瞳、もし私が今後彼に会ったら、必ず私を厳しく叱ってね！」

松山瞳は困った顔をしたが、彼女がこれ以上苦しまないようにと、仕方なく頷いた。

「送っていくわ」松山瞳は彼女を支えながら言った。「他の人たちのことは心配しないで。後で裕之がちゃんと手配してくれるから」

とわこと松山瞳はエレベーターに乗って階下へ降りた。

駐車場に到着すると、彼女は常盤奏の車を一目で見つけた。

「さっきは叱れって言ったのに、今じゃ彼の車を見て目が離せないなんて！やれやれ！」松山瞳は彼女の顔を強引に向き直し、からかいながら言った。「聞いた話だと、小林はるかはホテルに直接泊まったらしい。常盤奏はあんなに酔っ払ってるから、小林はるかが何かしようとしても、うまくいかないわよ」

とわこは「そんな余計な心配しないで」と言った。

「早くシートベルトを締めて！」松山瞳は彼女をからかった後、真剣な口調で言った。「帰ったらしっかり休んでね。とわこ、あなたはもっといい男性に出会えるはずよ」

とわこは少し感動した。

何か言おうとした矢先、バッグの中の携帯が鳴った。

彼女が取り出してみると、電話は三浦からで、驚きのあまりすぐに応答した。

三浦の声が聞こえる前に、まず耳障りな泣き声が飛び込んできた。

結菜の泣き声だ。

松山瞳はエンジンをかけようとしたが、とわこの携帯のスピーカーから聞こえてくる泣き声に気づき、顔を近づけた。

「とわこ、ご主人様の携