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第250話

常盤奏の大きな手が突然伸びてきて、彼女のスマホを握っていた手を軽く掴んだ。

彼女の手がふにゃっと力を抜き、スマホを落とすと、彼の手はすぐに離れた。

これで、武田の推測が確信に変わった。

常盤奏がここで講義をしているのは、間違いなく彼女のためだった。

幹部たちは、その場で呆然と立ち尽くした。

「おいおい!なんだこれ?」

「社長と常盤奏が……何かあるのか?」

とわこは顔が熱くなるのを感じ、ジュースを手に取って自分のグラスに注ぎ、一気に飲み干した。

今日は自分の誕生日じゃなくてよかった。

誰だって、誕生日にこんな講義を聞かされるなんて気が揉める。

彼は自分の成功の秘訣を語りながら、時折酒杯を持ち上げ、周りの人々と一緒に酒を飲んでいた。

どうやら彼は今夜が彼女の誕生日祝いのためだと忘れていないようだった。

とわこは、その間にご飯を二杯、果物を一皿食べたが、一時間が過ぎても常盤奏の話は終わらなかった。

彼女はとうとう片手で頭を支え、彼をじっと見つめた。

彼は喉がごくりと動いた後、彼女を見返しながら尋ねた。「三千院とわこ、さっきの話、ちゃんと覚えたか?」

彼女は視線を下げ、酒瓶を手に取ると自分のグラスに酒を注ぎ、彼にも注いで言った。「さぁ、お酒を飲もう。こんなに長く知り合っているのに、一度も一緒に飲んだことがないよね」

常盤奏は酒杯を握り、彼女と飲むべきか考えていた。

彼女は自分の酒杯を持ち上げ、一気に飲み干した。

隣のテーブルでそれを見ていた松山瞳は、目を見開き、驚きを隠せなかった。「とわこが、まさかの暴走?」

渡辺裕之が冷静に言った。「今夜、奏を酔わせたのは、マイクでもあの幹部たちでもなく、とわこだとは驚きだな」

松山瞳は常盤奏が酒杯を掲げ、一気に飲んでいるのを見て、驚いた。「彼ら、一体何をしているの?」

「これくらい見ればわかるだろう?お互いに愛し合いながらも、戦っているんだよ。彼らはこれから一緒になるか、永遠に縁が切れるかのどっちかだ」渡辺裕之は続けた。

「ふふ、彼らが一緒になることはないさ。常盤奏には小林はるかと結菜もいるんだし……とわこがどんなに頭をぶつけられても、彼と復縁することはないわ」松山瞳は言った。

そして、30分後、宴会は終了した。

常盤奏は完全に酔い潰れてしまい、とわこもかなり飲んでしまった。

彼女は
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