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第230話

京都奉行所の者たちは当然、大長公主の邸にも足を運んだ。結局のところ、語り部たちが白状したのは大長公主邸の執事のことだったので、京都奉行所としても慣例に従って尋問に行かざるを得なかったのだ。

大長公主の身分は特別なものだ。そのため、沖田陽が自ら出向き、協議するような態度で臨んだ。

案の定、大長公主はいい加減に誰かを罪人として押し出してきた。沖田陽もそれ以上は追及せず、その人物を連れ帰った。

語り部たちについては、とりあえず全員釈放された。ただし、役所は彼らに3日以内に事の真相を明らかにし、上原さくらに謝罪と賠償をするよう命じた。

結局のところ、京都奉行所が大々的に平陽侯爵邸を訪れて儀姫を尋問した以上、大長公主が身代わり羊を立てたところで、儀姫の嫌疑は晴れないだろう。

語り部たちに3日の猶予を与えたのは、もちろん大長公主に手を打つ時間を与えるためだ。事態がここまで来ては、脅迫では通用しない。買収するしかない。

そうして、また大金が動いた。恵子皇太妃から得た3000両は全て使い果たし、さらに足りない分は自腹を切ることになった。

語り部たちはこの金を受け取ると、次々と太政大臣邸を訪れ、謝罪と賠償金を届けた。

彼らはさくらに直接会うことはできなかったが、この大規模な謝罪の様子は多くの庶民の目を引いた。

福田が門前で彼らの謝罪と賠償を受け取っていたからだ。語り部たちは口々に、わずかな銀子に目がくらみ、上原お嬢様の評判を貶めるべきではなかったと言い続けた。

群衆の中から声が上がった。「お前らに金をくれたのは儀姫だろう?」

「儀姫か、それとも大長公主か?」

「おい!そんな無茶なこと言うな。大長公主様を怒らせたら命がないぞ」

「事実を言ってるだけさ。大長公主様の誕生日の宴で、上原さんが深水青葉先生の寒梅図を贈ったら、贋作だと言いがかりをつけられて、その場で引き裂かれたそうじゃないか」

「青葉先生の寒梅図を破り捨てたって?まさか。大長公主様は詩画をこよなく愛していると聞いているのに。青葉先生の絵は金さえあれば手に入るものじゃないぞ」

「破られた後どこに捨てられたんだ?教えてくれたら拾いに行くんだが」

「聞くところによると、儀姫が引き裂いたらしい。儀姫は平陽侯爵の夫人なのに、深水青葉先生の真作も見分けられないのか?」

「平陽侯爵家は、たぶん彼女が姫だから
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