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第231話

平陽侯爵老夫人は、さくらの澄んだ瞳を見つめ、この言葉が心からのものだと悟った。彼女がこの件で平陽侯爵家を責めていないことがわかった。

そして、安心した。

何はともあれ、平陽侯爵家は不必要に敵を作りたくなかった。特に北冥親王にせよ上原太政大臣家にせよ、彼らを敵に回したくはなかった。

少なくとも、彼らの軍功から判断すれば、敬意を払うべき人物たちだ。平陽侯爵家はそのような人々と交友を結ぶべきで、不和や軋轢を生むべきではない。

老夫人はため息をつき、「上原お嬢様、あなたは物事をよくわかっていらっしゃる。でも私は本当に申し訳なく思っています。もし陰陽頭長官が真相を明らかにしてくださらなかったら、あなたは一生不孝の汚名を着せられていたかもしれません。これは誰にとっても、ほとんど破滅的な打撃ですよ」

しかし、さくらは軽く首を振った。「老夫人、これは私にとって打撃なんてものではありません。ただのうわさ話にすぎません」

これがたいしたことではない?

老夫人は驚いてさくらを見つめた。最初は、さくらが意図的に大らかな態度を装っているのだと思った。しかし、さくらの表情に動揺の色はなく、本当に気にしていないようだった。

よく考えてみると、老夫人は理解した。なぜさくらがこれを大したことではないと言えるのかを。

さくらがここ数年で経験してきたことに比べれば、このような噂話など取るに足らないものだったのだ。

父や兄が戦死し、一族が悲惨な最期を遂げた。老夫人はさくらとは血縁関係もなかったが、そのことを思い、目の前にいる強く輝く少女を見つめると、胸が痛んだ。

あの日々は、さくらにとって間違いなく非常に辛いものだったはずだ。それでも彼女は落胆して世を恨むことなく、父や兄の遺志を継ぎ、桜花槍を手に敵と戦うことを選んだ。

上原家の精神は、まさに不屈だった。

老夫人は突然、以前さくらともっと交流があればよかったと後悔した。平陽侯家の若い世代は、さくらを見習うべきだと思った。

今日、老夫人は贈り物を用意してきていた。連珠紋様の金の腕輪だった。

老夫人は家人に箱を開けさせ、さくらに差し出した。さらに立ち上がり、自らさくらの腕に着けようとした。

この腕輪には赤と青の宝石が6つ嵌め込まれており、目を奪うほど輝いていた。一目で高価なものとわかり、普通の店では手に入らないほどの品だった。宮
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