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第7話

桃香は今までの人生で、親から支配され、無視されるのが本当に嫌だったと書いていた。

死に臨んでも、やはりそれが嫌だ。

でも、いくら嫌いだと言っても。

娘として父親と母親への愛は否定しようがない。

だからだ。

彼女はこれ以上、お互いに苦しめ続けるのを終わりにするため、死を選んだだけだよ。

父親と母親には関心を寄せる大切な姉もいるし、仲良くしている友人もいる。日々順調に成長を続ける事業もある。

一方、桃香には何もない。自分の家族すらも、自分よりも輝いている姉を選んだ。

だから、彼らに無関係で重要でない桃香一人、死んだところで問題はない。その死は一番の選択なのだ。

桃香が死んだ後。

みんなの人生はもっと幸せに満たされることだろう。

なんて素晴らしいことなんだろう。

遺書を読み終わった瞬間、母の心の防波堤は決壊し、後悔の波が押し寄せて止まらなかった。

彼女はもう他人も自分も騙すことはできない。携帯を手に持ち床に崩れ落ちると、両目から大粒の涙を絶えず流し続けた。

「桃香……私の桃香ちゃん……私の可愛い娘……ごめんなさい、ごめんなさい……

ママはあまりにもあなたに無関心だったわ。ママが間違ってた。どうしてあなたが自分を罰しないといけないの、ママのことを罰すればよかったじゃない……」

父も拳をきつく握り締め、目を真っ赤にさせていた。

現実を受け入れることができなかった。ビジネスでは余裕綽々で商売の話をしている彼が、この時、声を一つも発することができなかった。

「バカな子だ、そんなに辛い思いをしていたのなら、どうして何も言ってくれなかったんだ……」

違う。

私は伝えた。

ただ彼らが忘れただけ。

後々私は理解した。

死んでから私の望みは叶ったようだ。

この時、母と父の関心は私に向けられていた。姉のことなど目に入っていないようだった。

両親の隣に立ち、姉は今までにないほど無力だった。そしてしくしくと一緒に泣いていた。

父と母は突然目線を彼女へと移した。その目つきは今までに見たこともない冷ややかなものだった。

「花岡桜子、桃香は以前、鬱病になったことをお前に話したんでしょう?」

「どうして私たちに教えなかったの。病気のことを私たちに隠すように言ったの!?一体どういうつもり!?」

姉は驚き震えていた。

彼女は遺書の中の私が書いたただ
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