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第2話

警察官が今度は自ら私の死亡の知らせをしに家までやってきた。

私は他殺だったので、検死しなければならず、家族の了承と同意書へのサインも必要だったのだ。

その時、家には母一人でいて、警察官が警察手帳を見せるまで彼女はやはり私が騙そうとしていると思い、セキュリティを呼んで警察を追い立てようとした。

警察手帳を見ると、彼女はすぐに驚いてその場で固まってしまった。

彼女はまるでその瞬間、私がここ数日どうしてメッセージ一つよこさないのか、電話をかけても出ないのか、たとえ彼女が私の所有物の一切を捨てて私を脅そうとしても、私も動かなかった理由をようやく悟ったようだった。

なぜなら私はもうこの世にいないからだ。

死人がどうやって返事をすることができるのか。

警察は死亡知らせをした後、冷ややかな目つきで母を見た。「今まであなた達のような両親を見たことはありませんよ。子供の死亡の知らせを聞いた途端、まさか怒鳴りつけてくるとは。子供が何日も失踪していたのに、全く心配なかったのですか?」

母は口ごもりながら言った。「娘はもう成人なんですよ。家を出て行くのを止められるわけないでしょう。それに、まさかこんなことに......」

私、死んだんだけど。

彼女は私はしぶとい雑草のような命の持ち主だとでも思っているのだろう。

警察署へと向かう途中、母はずっと心ここにあらずの状態だった。

彼女は「桃香は良い子じゃないですけど、それでもそんな自暴自棄になって、あんな汚いところで遊び回るような真似をするはずがないんです」と言った。

彼女は尋ねた。「お巡りさん、さきほど死体の顔はめちゃくちゃに切り刻まれていたとおっしゃいましたよね?もしかして人違いなんじゃ」

彼女は信じなかった。「桃香は先週、私たちと電話したんですよ……」

警察官は厳しい顔つきになりながら、辛抱強く私だと特定したその理由を話していた。

警察は私の身分証明書から身元を特定できたのだ。

それは一風変わった身分証で、私の鞄のポケットに収められていた。身分証を入れていたカードケースには猫の形の鈴がつけられている。

その鈴のキーホルダーを見たとたん、母は生気を失った。

彼女は覚えていた。その鈴のことを。

それは母が私に贈ってくれた唯一のプレゼントだった。

でも、このような鈴のキーホルダーなんてどこにでも売っている。

何を証明できるというのか?

彼女は頭を横に振り、やはり信じようとしなかった。しかもさらに絶対に信じないという強硬な態度へと変わった。

警察官はこのような様子にはすでに見慣れていたので、ただ「警察署に着いたら、ゆっくり確認してください」とだけ言った。

彼は母に対して、私に会う前に他の家族にも連絡するようにと注意を促した。私の死体はあまり良い状態ではなかった。彼は今まで家族の死体を見て受け入れられず、気を失う人たちをたくさん見てきたのだ。だから、彼女にも心の準備をさせておく必要があった。

しかし母は首を横に振ってそれを拒否した。「いいえ、私は受け入れられます。それに、もし私の娘じゃなかったらどうするんです。家族はとても忙しいんですから、彼らの時間を無駄にしたくないんですよ」

「確認してから、また決めましょう」

すごく変だ。

彼女は何回も繰り返し言っていた。

警察の予想通り私の死体を見た瞬間、母は真っ先に叫び声をあげ、壁に寄りかかって吐き気をもよおした。

「こんなバラバラになった死体が私の娘のはずがありません。私の娘はこんなんじゃないんです。あの子は姉ほど綺麗じゃないけど、肌が白く透き通った若い娘なんですよ。こんなふうになるわけないんです!

あなた達は絶対、他の人と間違えているんです。そうよ、絶対にそう!……私には用事があるんです。もう行きます。私は今すぐ――」

母は私の見るに耐えられない酷い顔と向かい合ってしまった。

彼女は現実逃避したかった。

しなければならなかった。

彼女は慌ててその場から逃れようとした。

しかし、警官たちに止められてしまった。

「花岡さん、落ち着いてください」

「最初の鑑定結果では、被害者は生前強姦されたのです。容疑者は彼女をレイプした後、体をバラバラにして近いところに埋めたんです。残虐な手段ですから、あなたが認められないのも無理はありません。

我々も気にかかっていることがありますから、あなたにお越しいただいて捜査にご協力いただきたいのです」

親子鑑定。

これが今のところ直接的な鑑定方法だ。

警察官は話し終えると、その場はしばらくの間静寂に包まれた。

私は自分の死体の近くに立っていて、母の視線は私の死体に注がれ、その瞳は私の顔をじっと凝視し特定していた。

まるでそこから私だと特定できる詳細を探しているようで、また彼女が私ではないと確定したいようにも見えた。

その場の空気が完全に凍りついてしまってから、彼女はようやく口を開いた。

少し期待しながらも、もう死んだと諦めているかのように言った。

「じゃあ、やりましょう」

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