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第5話

そして、私は。

私も発狂していたようだ。

両親は以前から他人のことばかりを聞いて、私の言葉には全然耳をかさずに信じなかった。それで私は怒りにまかせてはっきりと言い返した。

「言ったでしょ、私はもう彼に対して分不相応な思いは持っていないって。

あなた達が私のことを信じられないって言うなら、私は出て行く。この家から出ていけばいいでしょう?」

学生時代からひそかに恋をしていて、もうすぐ結婚までできる人を諦めた。

本当に難しいわ。

だから私が諦めた後。

もうこれ以上彼らの私に対する偏見には耐えられなかった。

そして、私は寂しい後ろ姿を残して去っていった。

その時、彼らのうち一人も気づいていなかった。ただ私は理屈では納得させられない手のつけようのない娘だとしか思っていなかった。

今は?

そんなに時間の経っていない記憶を掘り起こして、彼らは気がついた。

おそらくあの一夜、一歩も引かず、強引に支配しようとしたせいだ。

そのせいで私が死んだのだ。

彼らは犯人が私を強姦して殺し、死体をバラバラにした極悪人だと思っていて、ヒステリックになり怒りの全てを彼らにぶちまけた。

しかし実際は、私が死んだ全ての原因は彼らにあったのだ。

私の一番親しいはずの家族。

誰もこのような事実を受け入れることなどできない。

父の話が終わった後、母はすぐにその可能性を否定しているようだった。

警察が私の遺品を持って来て、彼らの自分さえも騙したい幻想を打ち消してしまった。

鬱病の診断書。

それは警察官が私の手持ちの鞄の中から見つけ出したものだった。

彼らも私が夜中外に出て自殺をしようとしていたのだと判断した。ただちょうどごろつきに出会ってしまい、結局その自殺の結果をその犯人たちに背負わせることになったのだ。

彼は私の家族全員に尋ねた。

「死者は生前重い鬱病に悩まされていたと、ご家族はご存知でしたか?」

彼らは驚いた。

姉はすぐに目を閉じ、母は瞳孔を激しく動揺させていた。父は茫然として無表情だった。

しかし、彼らは全員異口同音に首を横に振った。

「いえ……知りませんでした……」

「そんなはずある?桃香はあんなに明るかったのに……」

「この子のことはよく分かっています。心の強い子なんですよ。あの、何かの間違いでは?」

父と母は十数年間の私と彼らの交流を
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