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第6話

私は死ぬ間際にも家族のことを想っていた。

父と母はきっと私がこんなに彼らのことを愛していたとは思ってもみなかっただろう。

しかし彼らは。

私が死ぬ前に会った最後の一場面でも、私に対して凶悪な顔を見せていた。

しかも私の死に、後押しまでしてくれた。

彼らは目を閉じ見ていられないという様子だったが、遺書にはまだ続きがあることに気がついた。

そうだ、まだ終わっていない。

まだまだ何ページも何ページも続いている。

私は自殺する前に思いつく限りの全てを小さなメッセージボックスの中に書き尽くしていた。

画面いっぱいに書かれていたのは心遣いの言葉の他に、いい加減に生きてきた人生についてもあった。

一言一句。

一つ一つの言葉が深く心に傷をつけていった。

私は小さい頃、幼稚園の時に初めてクラスメートにドブに落とされいじめられた。

しかし、父と母は私の不注意だと責め、全くその経緯を尋ねなかった。

彼らはキラキラしている姉だけに関心を持っていたからだ。

小学校に上がると、内気だったせいで私はグループからいじめに遭ったが、父と母はやはり私のために味方や力にはなってくれなかった。

やはり彼らは輝きを増した姉にさらに熱心になっていたからだ。

そして中学校へ上がった時、私は初めて勇気を出して発表会に出た。

父と母は私に見に来ると約束していた。私はステージ上で演技中に彼らを待ち続け演技を順調に進めず、みんなから嘲笑された。それでも彼らが来ることはなかった。

後から知ったことだが、その日姉は県外の臨時試合に出ていたらしい。

彼らはそっちに行ったのだ。

臨時に出場することになったもので、嬉しくて私のことはすっかり忘れていたのだ。

こんな状況になった時にどうするのか。

どちらか一人が私のほうに来てくれればいい。

もしくは。

その愛の半分だけでも。

私にちょうだい。

だって彼らは始めから終わりまで、ずっと輝いている姉に関心を寄せているんだもの。

このような些細な事は私が大人になる中で何度も何度もあった。

もしくは、今までの些細なことなんて彼らは早々に忘れていたのかもしれない。

記憶が掘り起こされた時、私のあの鮮明な感情が彼らの心の扉をノックした。

あの不公平さは誰が見ても明らかだ。

高校受験前に志望校を記入する時、おどおどしながら父に意見を求
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