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2. 「最強になるために」⑮

Author: 佐行 院
last update Last Updated: 2025-01-21 11:44:22
-⑮隠し扉-

 早速2人は見つけたスイッチを使って隠し扉を開ける事にした。パスワード解析装置を使ってパスワードを解析し、テンキーを動かしていく。

「ガチャッ・・・。」

 隠し扉の鍵が開いたようだ、光明の操作でドローンを動かし扉の中へ入っていく。中は暗いので暗視カメラを使用しないと進んでいけなかった。ゆっくりと慎重に前へと進んでいく。光明の隣で画面を凝視する結愛。しばらくすると円状で広々とした空間に出た。

光明「どうだ、見覚えあるか?」

結愛「全くだな。全体がコンクリの壁。こんな空間家では全く見たことねぇ。」

海斗「向こう側にも通路があるらしいな、ここが家に通じているのか?」

光明「とにかく行ってみよう。」

 光明はドローンを慎重に進ませていった、念の為に赤外線スコープを常に作動させていた。奥に奥にどんどん進んでいく、すると一番奥に木製の扉を発見した。周囲には怪しいものは何もないようだった、慎重に扉を開けていく。そっと・・・、そっと・・・。

 中に入ると全体的に洋風の壁の部屋があった。

光明「もしかして・・・。」

結愛「俺たちの家っぽいけどこんな部屋あったか?」

 取り敢えず光明は部屋の天井にドローンをくっつけ隠しカメラの様に部屋を監視していく事にした、愛と海斗は何かを思い出したような表情をしていた。

海斗「そう言えば俺らは立ち入り禁止の部屋がいくつかなかったか?」

結愛「確か1階と2階、4階に1部屋ずつあったな。」

琢磨「お前らん家何階建てだよ。」

海斗「地上5階建てに地下・・・。」

守「地下?!」

結愛「あったか?」

琢磨「知らねーのかよ!」

海斗「地下は無かった。」

橘「無いんかい!何で言ったんだ!」

海斗「いや、たまにはボケとかないと。」

守「空気読め!」

 海斗はそこにいた全員にビンタされた。

海斗「痛(いて)ぇよ、場を和ませてもいいだろ。」

結愛「はいはい、ありがとねー。(棒)」

 全員、ため息をつき呆れ顔をしていた。

 それを横目に光明はドローンを左右に動かしていく、しかし先程開けた木製の扉以外には出入口らしいものは見つからず、ほぼ一面壁のみの部屋となっていた。

光明「しばらく様子を見て義弘が出入りするのを待つしかなさそうだな。」

結愛「娘の俺が言うのもなんだが、親父も手の込んだことするな。」

海斗「多分校舎と同じよ
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    -67 重い罰- 『丼』な『重い』罰を受ける犯人に林田は柔らかな表情と口調で質問してみた、キツめの口調で聞くと答えづらくなってしまうかも知れない、素直に答えてくれそうな内に聞いてみようと言う作戦だ。林田「どうだ、味は美味いか?知り合いの板前さんに頼んで作って貰ったんだ。俺大好きなんだ、カツ丼と親子丼に牛丼、そしてかき揚げ丼がよ。」 丼にたっぷりの白米が盛られ、上には黒豚のロースカツにネフェテルサ特産の若鶏で出来た親子丼の具材がかけられ横にカラッとサクサクに揚げられた大きなかき揚げと継ぎ足しの出汁で甘辛く煮詰められた牛肉が添えられている。料理の練習に余念のない焼肉屋で働くウェアタイガーのヤンチの特製丼で、お代はいらないからと御厨板長が試食を頼んできたのだ。犯人「こんなご馳走・・・、久々だよ。」林田「それな、本当は俺の昼飯だったんだぞ。」犯人「いいのか?俺、さっきも言ったが金ねえぞ。」林田「良いんだ良いんだ。目の前で腹を空かせている奴がいるとほっとけねぇ性格(たち)でな、許してくれ。それにしてもよっぽど腹減っていたんだな、もう半分も無いじゃんかよ。」犯人「美味すぎてな・・・、俺には勿体ねぇ・・・。死んだ両親に食わせてやりてぇ・・・。」林田「良かったら、お前さんの話を聞かせてくれないか?食べ終わってからで良いからよ。」 犯人は冷めない内にと口にどんどんと運んでいった、急ぎすぎて詰まらせかけている。ただ、まだ満腹感は来ていないみたいで勢いはおさまらない。林田「ははは、急ぐからだろ。今お茶を持ってきてやるから待っとけ。」 林田警部が冷蔵庫から麦茶を持ってきて犯人に1杯与えると、食らいつく様に一気に飲み干した。林田「少し気になったんだが、お前さん。この世界の奴では無いな?」犯人「ああ・・・、確かにそうだが何故分かった?」林田「俺と同じ匂いがしたんだよ、今更だが名前は?」犯人「梶岡だ・・・、梶岡浩章(かじおかひろあき)。」林田「梶岡か、実は俺も転生者なんだ。お前さんも俺と同じだから、日本の味を美味そうに食ってるんだな。」梶岡「いや・・・、実は日本での記憶は全く無くてな。」林田「良かったら聞かせてくれるか。」梶岡「長くなるぞ、レースを見なくて良いのか?」林田「後で何とでもするさ。」梶岡「ん?まぁ・・・、良いか。これは数年前、ここに俺を転

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」66

    -66 一方で- 恋人たちが現場に戻って来たのはプニ達が爆弾を『処理』し終えてから十数分経過してからの事だった。2人は口の周りが不自然に明るく光り表情が少し赤くなっている、髪が少し乱れているのは言うまでもない。プニ「お前ら・・・、ううむ・・・。」 プニは仕事を再開すべきだと気持ちを押し殺した、何をしていたかだなんて正直想像もしたくない。 ただ林田警部が無線の向こうで呆れ顔になってしまっているのは確かだ、幸いケルベロスやレッドドラゴン達は気付いていないらしくその場を何としても納めなくてはと冷静に対処する事にした。 プニの無線機から林田警部の声が聞こえる、どうやら恋人たちは無線機の電源を切っていたらしい。林田(無線)「利通君・・・、そしてノーム君・・・、君らが無線機の電源を切ってまで2人きりになりたい気持ちは私も大人だから分からんでもないが・・・。」ドーラ「そんな・・・、照れるじゃないですか。」林田(無線)「ぶっ・・・。」 ドーラが林田に何をしたかはその場の全員が分からなかったが何かしらの攻撃がなされたらしい、多分ビンタに近い物だろう。取り敢えず林田は偶然を装う事にした、どう頑張ってもドーラが何かをした証拠が見つからないのだ。林田(無線)「失礼・・・。さてと、爆弾の方はどうなっているかね?」ドーラ「お父さ・・・、いや警部、1つがコインロッカーの中に見つかりました。爆弾処理班の方々によるとまだ複数個隠されているかとの事です。」林田(無線)「ノーム君・・・、まさかこの言葉を言う事になるとは思わなかったが、君にお父さんと呼ばれる筋合いは無いよ。取り敢えず見つかった爆弾はどうしたのかね?」利通「えっと・・・。」プニ「見つけた1個は俺達で処理したっす。」ケルベロス①「ただ競馬場内から爆弾の匂いがプンプンしますぜ、林田の旦那。」 相変わらずのキャラを保っているが仕事はしっかりと行っているので文句は言わないでおくことにした、別の者達には日を改めて。 一方、銃刀法違反の現行犯で逮捕した犯人をネフェテルサ王国の警察署に巡査が輸送し、それに合わせ警備本部にいた林田警部が一時的に署に戻り取り調べを行った。犯人によると自分は金で雇われただけだと言う、真犯人からは電話での指示を受けていたが非通知での着信だった為番号は知らないそうだ。そして分かった事がもう1つ、

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」65

    -65 ヒーローはすぐそばに- 覆面の男は息を漏らしながら突き付けている小刀をドーラの顔にゆっくりと近づけ始めた。男「俺はゆっくりと嬲っていくのが好きなんだ・・・、無力な馬鹿どもの目の前でお前の顔に1つずつ傷を入れてやる・・・。」ドーラ「あんた・・・、誰を相手にしてるか分かってんの?私みたいなブスを人質にしたって仕方ないのよ。」男「俺はこの状況が好きなだけでお前が誰かなんてどうでも良いんだ・・・。ほらほら・・・、後ちょっとで傷が・・・、ぐはっ。」 小刀が顔まであと2cmとなった瞬間、男が小刀を落とし崩れ落ちた。 男に男性が微量だがスタンガン程度の電力がある雷魔法を喰らわせている。男性「ふっ・・・、間に合ったな・・・。」ドーラ「林・・・、田・・・、いや利通!!怖かった・・・!!」 利通の胸で涙を流すドーラは1人の刑事ではなく女性の顔をしていた。利通「てめぇ・・・、何人の女に手ぇ出してんだよ・・・。」 利通は小刀を持つ男に鋭い眼光を向けた。結愛「社内恋愛ならぬ、署内恋愛?」ドーラ「・・・ってあんた、何彼氏面してんのよ!!」結愛「違うんかい・・・。」ドーラ「いや、利通は正真正銘私の彼氏ですけど?」結愛「何やねん・・・、ってどうでもええわ!!」利通「わ・・・、悪い・・・。だって・・・、大好きなドーラに・・・、刃物が向けられているのを見て・・・、じっとおれんかって・・・。」結愛「何で関西弁やねん・・・、でお前が泣くんかい!!」 結愛がキツめのツッコミを見せた時、利通とドーラの無線機から声がした。林田警部からだ。林田(無線)「えっとな・・・、利通・・・、それとノーム君。君たちが以前から良い雰囲気になっていたのは署内全員が知ってはいたんだがね。そのやりとりの音声を署内の人間全員の無線に送る必要は無かったのでは無いのかな・・・、と私は思うのだよ。しかも貝塚社長の目の前で・・・、ねぇ・・・。」 利通とドーラは無線機のチャンネルを確認した、両方ともの無線機が署員全体への連絡に使う物となっている。 恋人たちは顔を赤くし2人仲良くその場から離れて行った、行き先はどこへやら・・・。 気を取り直して、プニ達は爆弾の処理に戻ろうとしたがその場にまだ男がまだいたのを忘れていた。 ケルベロスの1人が男を背後から取り押さえ、もう1人が懐から手錠を取り出

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」64

    -64 この世界の爆弾処理班- 林田の指示を受け、ただちにドーラが連絡を入れるとダンラルタ王国警察から爆弾処理班が派遣され各国に散らばりもうすぐ到着するとの折り返しの連絡があった。 こっちの世界での爆弾処理班といえば重厚な装備を付けた正しく「爆弾のプロ」というイメージがある。 数十分後、軽装の男性が数名警備本部にやって来た。男性「お待たせっした、爆弾処理班っす。」林田「おいおいノーム君、こいつら本当に大丈夫なのか?」ドーラ「大丈夫ですよ、何せ彼らは火のプロですから。上級魔獣と上級の鳥獣人族(ホークマン)の集まりですよ。ここは私達にお任せください、警部は警備の指揮に戻られた方がよろしいかと。」林田「分かった、じゃあ任せるから随時報告を頼むな。」 林田警部はその場を離れ、逃げる様に競馬場周辺の警備隊と巡回し始めた。ダンラルタ王国警察から派遣された爆弾処理班は6名、内2名は上級鳥獣人族(アーク・ホークマン)で火属性に強いレイブン、そして人の姿をしたレッドドラゴンが2名と爆弾探し要因のケルベロスが2名、しつこい様だが全員かなりの軽装だ。 リーダーを務めるレイブンのプニは昔かなりのヤンチャだった為、少しチャラさがあった。プニ「んで、どっから調べます?」利通「プニー、久々だな。取り敢えずこの競馬場から頼むわ。」プニ「利通じゃねぇか、久しぶりだな!魔学校以来か、まさかお前と仕事するとはな。」結愛「プニ、俺達もいるぜ。」プニ「おお!!結愛に光明じゃねえか、結愛のキャラも相変わらず変わらねぇな!!」光明「俺達も捜査に手伝うから宜しくな。全社員一同、捜査に協力するぜ。」プニ「貝塚財閥だったか?えれぇデカい会社だもんな、心強いぜ。」利通「よし、そろそろ始めようぜ。」 テントを出て、ケルベロス達が嗅覚を利用して探し始めた。ケルベロス①「ふんふんふん・・・、さっきからずっと匂ってたけど分かるか?」ケルベロス②「この火薬臭い匂いだろ、お前も感じるか。」プニ「匂いなんて全然しねぇぞ、どっからだよ。」 ケルベロス達の案内で全員が競馬場内のコインロッカーへと向かって行った。南口にあるロッカーの45番、微かにだが確かにカチカチと音がしている。ケルベロス②「これ、開けれるか?」光明「任せろ、こういうのは得意だからな。」プニ「よっ、先生。待ってました。

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」63

    -63 レースの裏で- レースは70周目に入ろうとしている、トップは未だキュルアが乗る⑨番車。他のチーム車両がピットストップを行っていく中でも彼は依然として行おうとしなかったので差がどんどんとついて行く、ピットスタッフに至っては交代で仮眠を取り出す始末だ。 そんな中、レースコースの周辺を3国の警察が協力して警備を行っていた。ネフェテルサ王国では林田警部が指揮を執り、息子で警部補の利通や刑事のノームこと、冒険者ギルドの受付嬢を兼任するエルフのドーラが参加していた。 コースの一部が併設されている競馬場にパトカーや覆面パトカーを止め警備本部のテントを設置して、林田警部がそこで街中の定点カメラ等の映像とにらめっこしていると1人の巡査が緊張で震えながら近づいて来た。手袋をした右手で1通の手紙を持っている。巡査「警部・・・、あの・・・、よろしいですか?」林田「ど・・・、どうした?顔が蒼ざめているぞ。」巡査「実はと申しますと、警部が乗って来られている覆面パトカーのミラーにこれが・・・。」 巡査から手紙を受け取るとゆっくりと開けて黙読した、切り貼りで作られた脅迫状で、こう書かれていた。-3国のレースコース周辺の各所とネフェテルサ王国にある貝塚学園小分校、そしてバルファイ王国の貝塚学園高等魔学校に爆弾を仕掛けた。最下位がゴールした瞬間に爆発する様に設定してある、解除して欲しければ現金1兆円用意しろ。またこの脅迫状を受けてレースを中止したり、爆弾の事を外部に漏らしたりすると即爆発のスイッチを押す。-林田「爆弾か・・・、しかも3国とはまた面倒な・・・。それにしても貝塚学園か、久々に聞く名前だな。確かネフェテルサの孤児院とバルファイ王国の魔学校がそこに当たると言っていたな。確か転生してくる数年前だったか・・・、あっちの世界で贈収賄の疑いで貝塚財閥の前社長が逮捕される直前に色んな作戦を経て最終的に全権を奪った今の社長夫婦がこっちの世界に転生した時に当時ボロボロになっていた2校を立て直したものらしい。前社長が理事長を務めた貝塚学園高校での独裁政治ぶりが露わになったが故に評判の落ちた学園や財閥を立て直すべく、今の社長が筆頭株主と協力して積極的な教育支援を行い今となってはあっちでもこっちでも文武両道の良好な学園となっていると聞く。確か・・・、貝塚財閥社長兼学園理事長の名前は・・

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」62

    -62 寡黙なドライバーの過去- レースは50周目に差し掛かろうとしていた、依然トップは⑨番車で車を操る寡黙なドライバーはまだまだペースを上げて最速ラップタイムを更新していった。数年もの間、続いて来たレースだがここまでの記録が出たのは初めてだと言う。⑨監督「おいおい、疲れて来てないか?そろそろピットに入って交代していいんだぞ。」⑨ドライバー「まだ・・・、行ける・・・。と言うか、行きたい・・・。」⑨監督「そうか・・・、お前が良いなら良いが、無理だけはするなよ?」⑨ドライバー「ああ・・・、感謝する・・・。」カバーサ「未だに記録が更新されていきますが、それに連れドライバーさんもがどんどん寡黙になっていきます。」 コースのコツを掴んだのか、彼にとったら現在このレースはただのドライブ感覚となっていた。彼はフルフェイスの顔部分を上げ、傍らに置いていた煙草を燻らせ始めた。⑨監督「お前、このチームに来て今年で3年目だったはずだが大分貫禄が出て来たな。まさかレース中に煙草を吸う程の余裕まであるとは。」⑨ドライバー「ふぅー・・・(煙草)、駄目か?」⑨監督「駄目とは・・・、言わないけどさ。タイヤは平気か?」 ドライバーはタコメーター横のパラメーターにチラリと目をやった。⑨ドライバー「まだ・・・、走れる・・・。すまんが、一人にしてくれ。」⑨監督「ああ・・・、いつでも交代するから言えよ?」⑨ドライバー「分かった・・・。」 ドライバーは短くなった煙草を灰皿に捨てると新たにもう1本煙草を燻らせ始め、1人思い出に更け始めた。カバーサが実況席を通し彼の回想を音声に変えて観客全員に行き渡らせ始めた、ドライバーは気付いてないらしい・・・。⑨ドライバー(回想)「そうか・・・、俺もこのチームに入ってもう3年目か。あの頃の俺はこうやって走っているだなんて想像も付かなかっただろうな。確か異動は急な話だったはず、前は営業3課にいたはずだな・・・。ホント・・・、課長がうるさかったな。一応・・・、このチームがあるから会社に入ったんだが・・・。」課長(回想)「キュルア(⑨ドライバー)!お前は相変わらず役に立たん奴だな!お前だけだぞ、この3課でノルマを達成出来ていないのはよ!何もしない癖に椅子にドカッと座って飯だけはいっちょ前に食いやがってよ、次の異動とボーナスを楽しみにしているんだな

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