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第39話

 玲奈は涙が止まらず、自責と後悔でいっぱいだった。

 真一は驚いた。彼は玲奈にこんな辛い過去があるとは思ってもみなかった。

 彼自身も幼い頃に孤児となり、玲奈と同じような苦労をしてきたので、彼女の気持ちや、困難に直面した時の絶望や無力感を深く理解することができた……

 同じように孤独な人生を歩んできた者同士だった!

 この時、真一の心はかなり安らいだ。彼は玲奈に対して理解と同情の気持ちが生まれた。

 今は帰宅の時間だったため、真一と玲奈のやり取りはすぐに周りの多くの同僚たちの注目を集めた。

 「見て!」

 「あれ、床に跪いている美女はなんと社長の秘書、玲奈じゃない?向かいの男は誰?」

 「知らないね、見たことがない」

 「なんだか奇妙だな、彼ら二人は一体何をしているんだ?」

 周りの人々が騒然としていた。不思議そうな顔で真一と玲奈を見つめていた。

 真一は驚いた。注目の的になるのは避けたかったので、急いで言った。「田中さん、早く立ってください!」

 「いいえ、あなたが許してくれないなら立ちません……」

 玲奈は固く言った。

 「わかった、許します。だから、まず立って、ここを離れてから話しましょう!」

 真一は急いで玲奈を助け起こし、逃げるようにその場を離れた。

 玲奈は笑顔で、涙を流しながら心の中でとても幸せだった。

 ついに真一の許しを得て、心が軽くなり、ホッとした気持ちだった。

 真一は玲奈を引き連れて会社の駐車場までやって来た。

 「田中さん、通勤はどうしていますか?自転車ですか、それともタクシーですか?」

 真一は少しためらいながら尋ねた。

 「時々バスに乗ることもありますし、シェアサイクルを使うこともあります」

 玲奈は恥ずかしそうに答えた。

 実は会社から毎月いくらかのタクシー代補助が出ていたが、タクシーは高くつくので、できるだけ節約していたのだ。

 「どこに住んでいますか?バイクで送って行きます!」

 真一は目の前のピンク色のバイクを指さし、少し気恥ずかしそうに言った。

 やはりこのバイクの色はあまり彼には似合わないようだった。

 「ええ……これが、あなたのバイクですか?」

 玲奈は一瞬驚いて、思わず笑った。「このバイクの色、本当に素敵ですね……」

 「友達にもらったもので、しばらく使っています
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