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第46話

 浩介は少しの躊躇もなく、真一の前で膝をつき、自分の顔を叩きながら言った。「秦さん、さっきのことは全部僕が悪かったんです。あなたは母を助けてくれたのに、僕はあんなふうに……

 僕、本当にダメな人間です……」

 浩介は非常に後悔し、自責の念にかられていた。

 「まあ、誤解があっただけだよ。今後はもっと冷静に行動するように気をつけてね……」

 真一は浩介がわざと自分にぶつかったわけではないことを理解しており、彼はそんな小さなことにはくよくよしないタイプだった。手を差し伸べて浩介を立ち上がらせた。

 博明は事態がこんなにも劇的に変わるとは思ってもみなかった。顔をしかめて冷ややかに言った。「玲奈、こんな奴に感謝する必要なんてないよ!

 うちの病院で治療を続けた結果、山田さんの病状はほとんど良くなっていたんだ。彼はたまたま運が良かっただけだ!」

 「田村さん、それは違うでしょ!

 みんな見ていたんだから。母の病状はずっと良くならなかった。ベッドから降りるのも難しかったのに、秦さんの鍼灸治療で良くなったんの。それが偶然なんてあり得ません!」

 玲奈は少し不機嫌そうに言った。

 「そうだよ!」

 「明らかに秦さんのおかげでしょ、病院とは関係ない!」

 「恥知らずだな!」

 ……

 病室に残りの二人の患者も見下した表情を浮かべていた。彼らもバカではない、当然博明が強引な理屈を言っていることを見抜いていた!

 「たとえこの小僧に功績があったとしても、どうだっていうんだ?

 山田さんの体はとても弱っているし、さっき何の理由もなく大量の血を吐いた。これは一時的なもので、後遺症が残るかもしれないだろう!」

 博明は納得がいかない様子だった。

 「それは……」

 玲奈と浩介は言葉に詰まり、母親の体に後遺症が残らないか心配して真一に目を向けた。

 「血の色をよく見てください。黒紫色で、これは正常な血液ではなく、薬の残留毒です……

 お母さんはここ数ヶ月、気と血を補う普通の漢方薬を飲み続けていましたが、薬が合わなかったため体に毒素がたまり、病状が悪化していたのです……」

 真一は芹奈の状態を詳しく説明した。

 彼が天命六鍼で芹奈の治療をした際、合併症を治しただけでなく、毒素も取り除き、完全に彼女の病気を完治した。

 「なるほど!」

 芹奈たち
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