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第23話

 和子は驚いて「あなた、免許を持ってないの?」と聞いた。

 「それはちょっと困ったわね」

 彼女は少し考え込んだ後、ふと思い出したように言った。「じゃあ、バイクは乗れる?」

 「バイクなら乗れるよ。免許も持ってる」と真一は頷いた。

 以前、馬場家では犬以下の扱いを受けていて、車に乗る資格なんてなかった。

 ただ、雑用をこなすために古い中古のバイクを与えられていた。

 「それなら良かった。

 私のところにバイクが一台あるの。叔母が去年の誕生日にくれたものだけど。

 普段は使わないからあなたに譲るわ」

 和子は真一を角に連れて行き、そこにはピンクで派手なバイクが停まっていた。

 「このバイク、侮れないわよ。値段は少なくとも一千万以上するんだから……」

 「え?

 一千万以上?」

 真一は驚いた。

 「そう、叔母が言ってたけど、このバイクはあるブランドが手掛けた限定記念モデルで、価格は3700万くらいだって。」

 和子は思い出しながら言った。

 真一は呆然とし、金持ちというのは本当にすごい。たかがバイク一台の価格が高級車よりも高いなんて。

 あまりにもありえない話だろう!

 「僕は別に気に入らないわけじゃないんだ。

 ただ、その色が僕とあまり合わないと感じてるだけさ」

 真一は苦笑いし、少し躊躇してから勇気を出して言った。「和子、どうせこれから一緒に働くんだから、君の車に一緒に乗った方が便利じゃないかな……」

 「私は構わないけどね。

 でも、よく考えてみて。もし誰かに私たちが一緒に通勤しているのを見られたら、君にとって不都合なことがあるかもしれない……

 それに、これは長期的な解決策じゃない。もし将来何か個人的な用事があって、乗り物がないと不便かもしれないわ」

 和子は肩をすくめて言った。

 同時に心の中では、やっぱりこの男は少し下心があるんじゃないかと思った。

 真一はすぐに理解した。和子は江城町の四大美女の一人で、林家のお嬢様でもあるため、彼女に憧れる人が多いはずだ。自分がその邪魔をするわけにはいかないと思った。

 「やっぱり、先にこのバイクを乗ることにするよ。

 後で時間があったら免許を取りに行く」

 真一はにっこり笑いながら、素直にバイクにまたがった。

 彼が派手なバイクに乗っている姿は、確かに勇ましく
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