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第106話

 真一は自ら墓穴を掘りたいというのなら、雄也はそれを手伝うことをいとわなかった!

 「その通りだ!」

 「今回の事件は非常に悪質であり、彼を解雇するべきだ!」

 「さもなければ、他の社員も彼を見習ってしまう、そうなったら会社はどう運営すればいいのか!」

 ……

 重役たちは怒りが収まらず、雄也の意見に同調した。

 和子は顔色が青ざめし、真一は彼女の命の恩人であり、こんな些細なことで彼を解雇するのは避けたかった。

 しかし、怒りが収まらなく、彼を庇い続けるとどうやって会社の重役たちに説明すればいいのか悩んでいた。

 「黙れ!

 真一が周村グループの契約を取れなかったなんて誰が言ったの?

 思い込みが過ぎる!」

 彩香が怒鳴り、及び立ち上がって真一を擁護した。

 「何だって?!」

 「もしかして、あなたたちはすでに周村グループと契約を結んだというのか?」

 重役たちは驚き、互いに顔を見合わせ、困惑した表情を浮かべた。

 もともとは騒がしい会議室も、突然不気味な静寂に包まれた。

 「そうです、僕と山本さんは既に協力の契約を結びました!

 そして、今回は周村社長が自ら僕たちを食事に招待し、食卓で契約書にサインしました。これは通常の接待です!

 僕は会社の資源を私的に使ったり、規則に違反したりしていません!」

 真一は堂々と言い切った。

 前は少し理屈が通らないと感じていたが、彩香の言葉でようやく気づいた。自分は契約を手に入れ、食事や酒は全て通常の接待の範囲内だということに。

 これのどこが違反なのか!

 「ははは......」

 「周村グループの社長があなたたちを食事に招待?冗談じゃないのか!」

 「秦さん、まだ酒が抜けてないんじゃないか?酔っ払い言葉を言ってるんじゃないの?!」

 「本当に笑わせてくれるな!」

 ......

 静寂が過ぎた後、突然みんなが大笑いし始め、嘲笑の声も混じっていた。

 先ほどまで彼らは彩香の勢いに圧倒され、一時は彩香と真一が本当に周村グループの契約を取ったのだと思い込んでいた。

 しかし、今見る限り、真一の言葉はまったくのでたらめだ!

 周村グループの社長が、真一というただの秘書を食事に招待するなんて、冗談じゃないか!

 「何を笑ってるんだ、僕が言っていることは本当だ!

 はっきり
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