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第6話

俺はもっと早く、彼女にお前を捨てさせるべきだったんだ。彼女はお前に惚れてたせいで、命まで失っちゃったんだぞ!」

直人は激怒し、智也を睨みつけながら、皮肉っぽい笑みを浮かべた。

「何だよ、大野さんも彼女に惚れてたってか?

彼女を助けるために、芝居を手伝ってたのか?だったら、自分で追えばよかっただろう?あんな浮気女、俺はもういらないから、もらってくれ」

その言葉を聞くと、智也の目は完全に怒りで赤くなり、直人を捕まえると、肩越しに叩きつけた。

まだ気が済まなかったのか、智也は彼の上に馬乗りになって、直人の顔を思いっきり殴り続けた。

「クソ野郎!彼女は死んだのに、まだ侮辱する気か?死ぬべきなのはお前だったんだ!」

直人は抵抗する力もなく、ただ頭を抱えて、必死に智也の拳を避けた。

混乱の中で、美穂が直人の前に飛び出し、彼を庇った。しかし、智也の拳は止まることなく、彼女の顔に直撃した。

その一撃は相当な力だったので、彼女の顔はすぐに腫れた。

美穂は直人の上にうずくまって、泣きじゃくった。

「ごめんなさい、全部私が悪いの。直人に付きまとって、彼が優香と過ごす時間がなくなったのは私のせいなのよ。

優香は私を責めてもいいけど、直人だってこの数日、彼女のことを心配してたの。彼女があなたたちと一緒に直人を騙すなんて、あり得ないわよ」

智也の怒りはさらに増し、美穂の襟を掴んで引き上げると、一発平手打ちを食らわせた。

「お前、よくそんなこと言えるな!答えろ、あの日犯人がなんでお前だけを逃がしたんだ?お前、犯人とグルだったんじゃねぇのか?

お前、どれだけ冷酷なんだ。知ってるのか?彼女はあの日妊娠三か月目だったんだぞ?」

智也の目は真っ赤になっていて、いつもは冷静沈着な彼が完全に自制を失っていた。

ただ直人だけが必死に冷静を保とうとしていた。

彼は智也の手をこじ開けて、美穂を背後で守った。

彼の表情はまさに緊迫していて、まるで敵に立ち向かうようだった。

「智也、お前どうかしてんじゃねぇのか?なんで美穂に手を出すんだ?

今日は絶対に美穂に謝ってもらうぞ。じゃなきゃ、俺たちもう兄弟じゃねぇ!」

智也は怒りのあまり笑い出し、冷たい表情で直人を見た。

「兄弟?俺が一番後悔してるのは、お前みたいなバカと友達になったことだ!

自分の嫁さんが死んだのに信じず、ろ
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