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第6話

彼の言葉に込められた恨みを感じ取ったが、無視して階段を上がった。

深水の目の中の暗い影に、やっと落ち着いたはずの心が再び緊張し始めた。

彼は正気を失っている。

陸橋は過去を気にしていないかもしれないが、深水は明らかにまだ執着していた。

ベッドに呆然と座っていると、突然ドアをノックする音がした。

開けた途端、一人が押し入ってきた。

深水だった。私の手首を掴み、その後ろからもう一人が入ってきた。

陸橋は相変わらず無表情で、悠然と部屋に入ってきた。

バタンという音と共に、ドアが静かに閉まった。

深水は私の顎を掴み、目に怒りの炎を宿したように睨みつけた。

「城井杏、よくも知らないふりができたな」

「なぜできないわけ?」

私の冷たい態度に、深水は一瞬動きを止めた。急に嘲笑うように言った。「三年経って、随分と図々しくなったじゃないか」

「三年だぞ。三年も探し回って、こんな辺境に隠れてやがった」

私の部屋を見回しながら、舌打ちをした。

「この廃屋みたいな場所が、雲原市の家より良いとでも?よく住めるな」

この部屋は決して粗末ではなく、カントリー調の良い部屋だった。

でも金の匙をくわえて生まれた深水には、こんな場所が気に入るはずもない。

私は手を振り払い、彼から距離を取った。

「何が目的なの?深水さん、陸橋さん、私たちはもう無関係でしょう」

空気が一瞬凍りついた。

陸橋のいつもの冷淡な表情が、徐々に暗くなっていくのが見えた。

薄い唇を開いて言った。「無関係?」

「杏、これが何も言わずに消えた理由か?」

陸橋が怒るところを見るのは稀だった。かつて、冷淡さは彼の特徴だと思っていた。でも後に、霧島晴に向ける優しい表情を見た時、分かったのだ。

彼が冷たいのは私に対してだけ。私は霧島晴の代用品でしかなかったのだから。

最初の数年間、私も陸橋のことを好きだった。

少女の気持ちは単純で、脆くて。

成人式の日、お酒の勢いを借りて、勇気を出して告白した。

その日、陸橋は私の頬に触れながら、最も優しい声で、最も冷たい言葉を告げた。

「杏、一生守ると約束したけど、それは兄としてだ。それ以上のことは、望んではいけないし、望めない」

あの日以来、陸橋は長い間私を避けた。

私もようやく理解した。彼は兄としてしか存在できないのだと。

それからは、私
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