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第60話

この食事、私は味を知らないままで終わった。

家に帰って、一晩中ぼんやりな感じで、まるで寝ているようでありながらも目が覚めているような感じだった。

翌日、私は昼まで寝ていて、歩く感覚がふわふわしているようだった。

冷蔵庫を見て、茄子の炒めとエビ豆腐の炒めを作った。ご飯を食べて、少し元気が出た。

コンサートは夜だから、まだ時間が早かった。ネガティブな気分に陥るよりも、私はパソコンを開いて仕事の準備をすることにした。

まずはソーシャルメディアをチェックすることにした。

MS公式アカウントからのメッセージを見て、気持ちが一気に高まった。

ちょうど詳しく見ようとしていたところ、河崎来依から電話がかかってきた。「大丈夫?南ちゃん」

彼女に心配させたくないので、「大丈夫だよ」と答えた。

「江川宏は帰った?」

私は黙っていた。「いいえ」

「ならあいつを言わないで、不吉だし」

河崎来依は話題を変えた。「電話をかけたのは、MSがコラボ商品を作るというニュースは知っているか」

「さっき見たよ」

従来のコラボ商品は、ブランド同士が合意に達し、契約を結ぶだけだった。

今回のMSのクリスマスコラボ商品は、デザインコンテストの形式で行われる予定だった。

各ブランドには2つの参加枠があり、どのブランドのデザイナーが優勝すれば、MSはそのブランドとコラボするんだった。

優勝したデザイナーとMSのチームが一緒にコラボ商品のデザインを完成させた。

MSは、高級ブランドの中でもトップの存在だった。

このニュースが出れば、各大ブランドはこのコラボのチャンスを奪い合うことは間違いなかった。

それぞれが自分の特技を発揮していると言えた。

河崎来依は聞いた。「気になる?」

「もちろんだよ。こんないい機会、誰だって気になるよ」

MSと一緒に仕事ができるのは、とても貴重な機会だった。

言っていると、私はまた無力に言った。「でも、私より優秀なデザイナーはたくさんいるだろうし、考えるだけだろうな」

河崎来依は笑って、ずるいと言った。「山田先輩は今MSの地域社長だよ。彼に内密に手を回してもらえばいいんじゃない?」

「やめてよ」

私は笑って言った。「それじゃあ、私と山田時雄は卑劣だよ?他の人にも公平じゃないよ」

「ああ、考えすぎないで。この国は人情の社会だから、プロジェ
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