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第64話

もうすぐって何?

私はまるでゴシップで跳ね回る記者のようだった。

そのゴシップを聞き続けたいと思っていた。

でも、もう聞き続けると失礼になると感た。

良いところでやめるしかなかった。

今日のコンサートの曲は、私のお気に入りのプレイリストに入っている曲ばかりだった。

一つのコンサートを聴き終えても、まだ物足りなかった。

歌手が退場すると、大きな夢から覚めたような非現実感があった。

椅子に座って、騒ぎが収まった後の人々を見渡すと、心の中が空っぽになった。

心の中が恐ろしいほど空っぽだった。

今まで、手に握っていた携帯は江川宏からの連絡や電話がまったくないままだった。

私がぼんやりしている間も、山田時雄は私を非常に尊重し、一切急かさなかった。

ただ静かに横で待っていた。

私が我に返った後、私たちは人ごみに従って一緒に外に出た。

警備員が秩序を保っているにもかかわらず、人々が押し合い、私は歩いていたが、後ろから力強く押され、足元がふらついて、山田時雄に直接ぶつかった。

山田時雄は私の肩を無意識に抱きしめて、「大丈夫?」と言った。

「大丈夫だ」

私は少し恥ずかしながら説明した。「誰かに押されて、立ち上がれなかった」

山田時雄はただ私を離し、何も言わなかった。

その後、私にぶつかる人はいなくなり、混雑感さえもなくなった。

私と山田時雄の車は異なる方向に停まっていて、玄関まで行くとそれぞれ家に帰るしかなかった。

「南」

山田時雄が突然私を呼び止めた。「MSコラボデザインコンテストに参加したか?」

彼が自発的にこれを話すとは意外で、笑って言った。「それは私の意見ではない。私の参加枠があるかどうかに決めるよ」

彼は優しく微笑んで言った。「それでは、期待しているね」

「うん、先輩、またね」

雨はもう止んでいて、駐車場に向かう途中、雨上がりの清々しい香りが漂ってきて、とても心地よかった。

少し寒くないなら、散歩して帰りたいくらいだった。

駐車場に近づくと、私は頭を上げると加藤伸二が見えた。

彼も私を見つけて、すぐに駆け寄ってきた。「若奥様、社長がずっとお待ちです」

「?」

彼は私を裏切ったよ。

どうしてまた私を待っていたか。

私は眉をひそめて尋ねた。「どこで待っているの?」

「車の中です」

加藤伸二は路上に停まっている
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