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第279話

服部鷹はいつもお金の話を口にしているが、私に手配してくれたのは大阪の六つ星ホテルだった。

本当はその夜に鹿兒島に戻ろうと思っていたが、服部鷹は電話で言った。「明日鹿兒島に行くから、ついでに連れて帰るよ」

「わかった」

便乗に乗らない理由はないんだ。

翌日、私は目覚まし時計なしでゆっくり起きるつもりだったが、電話の音で目を覚ました。

「降りてこい」

それは服部鷹のだるそうな声だった。

2日連続で彼に起こされるのに少しイライラしてしまった。「まったく、また徹夜したの?」

「ほう、寝起きの機嫌が悪いんだな?」

私は深く息を吸い、不機嫌をえて、微笑んだ。「そんなことないよ。ただあなたを心配してるだけだ。服部さん、朝早くに一体何のご用か?」

服部鷹は欠伸をして言った。「藤原おばあさんがお前に会いたがってるんだ」

「え?」

意外だった。彼の影響で、私も欠伸をしながらベッドから這い上がった。「今?」

彼は突然皮肉っぽく言った。「まさか、俺がお前を長年密かに慕っていて、こんな時間に下で待ってると思うか?」

「......わかった、15分で」

急いで身支度を整え、服を着替え、バッグを持って階下に降りた。

服部家の若様の車は堂々と駐車場に停まっていて、彼は車に寄りかかり、頭を垂れ、手の中でライターを弄びながら、無造作な姿勢で待っていた。

私は小走りで近づいた。「行こう」

「時間ぴったりじゃん?」

彼は腕時計に目をやり、気だるそうに言った。「一秒も遅れてない」

私が遅いと罵っていた。

私は眉を上げて微笑んだ。「それは私が時間通りだったことを褒めてるんだね」

そう言って後部座席に乗ろうとした。

「清水さん、運転お願いだよ」

彼は突然車のドアを押さえ、運転席を指しながら鍵を私の手に放り投げた。

そして、当然のように助手席に身体を沈めた。

この場では仕方がなかった

彼が私に藤原家の邸宅のアドレスを送ってきたのはなぜかと思っていたら、こんなことを考えていたのか。

私は何も言わずに車を回って、運転席に座ったが、彼がどこからかアイマスクを取り出した。

頭を傾けてすぐに眠ってしまった。

この人、前世で寝不足で死んだのかな。

とはいえ、アクセルやブレーキの操作は控えめにした。

車は一定のスピードで進み、やがて藤原家の邸宅に到着すると、ゆっく
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