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第133話

病院に向かう途中、私は助手席にもたれかかってぼんやりとしていた。去る前に江川宏の悲しみに満ちた表情を思い出し、心の奥がレモンジュースで絞られたような感じがした。

酸っぱくて信じられないくらいだった。

しかし、この愚痛を発散した後、私の胸の中の息苦しさは確かにかなり和らいだ!

そう。

失ったのは私たち二人の子供なのに。

なぜ私だけが苦しまなければならなかったのか。

彼も苦しむべきで、一緒に苦しむべきだった。

山田時雄は片手でハンドルを握り、もう一度私の額に触れ、心配そうな顔をした。「熱がかなり高いようだね」

「大丈夫、風邪を引いただけだから、注射を打てば治るよ」

私は何とも思わずに首を横に振った。

とにかく、お腹の中には子供はいないし、風邪を引いても薬を飲んで注射を打てば治るんだ。

MSは聖心病院から一番近いので、山田時雄は時間を無駄にしたくないから、病院を変えなかったし、私もそれには気にしなかった。

こんな大きな病院なら、意図的でなければ、会わないんだ。

思ってもみなかったが、私たちの車が停まるとすぐに、院長が医師と看護師2人を連れて迎えに来た。

「奥様」

院長が看護師に私を支えさせ、咳払いをして、親しげに言った。「社長がさっき電話で言ってくれました。何度も何度も注意して、最近の体調が特殊で、また熱が出ているから、私が奥様の病状を軽視してはいけないと言っていました」

最初は断ろうと思ったが、考え直して、妥協した。「わかった」

確かに、これで手間が省ける。

しかも、離婚証明書もまだ手に入っていないし、江川家の資源を使うのは当然だ。

しかし、私が驚いたのは、院長が私たちをVIP病室エリアに連れて行ったことだ。私は眉をひそめた。「ここは満室じゃないの?」

おばさんの部屋までも、私が一生懸命に争ってから手に入れたんだ。

院長は優しく笑って言った。「あなたこそが奥様です。奥様が必要なら、他人は皆道を譲るべきです」

他人?

VIP病室は全部で3つあり、それぞれ江川アナ、江川温子、おばさんが住んでいる。

この大事な時に、江川宏はまだ私に対して罪悪感を抱いているので、おばさんを追い出すことは絶対にしないだろう。江川アナと江川温子は彼が一番大切にしている人たちだから……

私の思考がまだ整理されていない間に、近くで江川アナが以前住んでい
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