第6話

「問題ないわ。もし中岛さんが私と伊藤社長の関係を疑っているなら、この契約を高く売りましょう」

そう言った途端、父は焦り始め、何も確認せずに契約書に署名した。

俊介の仕事の効率は確かに速い。まだお金が流れ込む前に、父は警察からの呼び出しを受けた。

そして、家の別荘と数台の高級車は銀行に差し押さえられた。

しかし、状況はそれだけではなかった。父と中島泥棒猫は、いつでも逮捕される可能性があった。

なぜなら、白浜海水浴場と呼ばれる案件は、俊介が仕組んだ空っぽのプロジェクトだったからだ。

投入すればするほど、最終的に失う金額は大きくなる。

しかし、それだけでは終わらない。俊介は、このプロジェクトにいくつかの犯罪行為を仕込んでいた。

脱税から、工事の手抜き、労働者への賃金未払いまで。

父は元々、汚れた手口でここまでのし上がってきた運のいい男だ。

そして今、俊介と私はその木を引き抜いた。

ただ、誰も予想していなかったことがあった。

中島泥棒猫が、父をそそのかし、自らも契約書に名を連ねていたことだ。

あの食卓で、父に警戒を促していた彼女は、プロジェクトの利益を理解した瞬間に、迷わず名前を書き込んでいた。

今、彼女を待つのは、いくつもの法律責任と賠償である。

家の最後の一軒が差し押さえられたとき、私は騒然とした家に戻った。

「まだ顔を出すつもりか！お前と俊介が俺を完全に破滅させた！」

父は私に近づき、いきなり平手打ちを食らわせた。

彼は今、警察からの呼び出しに怯え、怒り狂っていた。

「お前には自分を貶めた奴を見つける時間があったはずだろう。俺たちを巻き込んでどうするんだ！」

父は未だに、自分の隣にいる女の正体を理解していなかった。

「まず、そばにいるこの女に聞いてみれば？彼女がどれだけこの件に関わっていたかを」

父は信じられないような目で中島泥棒猫を見た。

「お前が願美を陥れたのか？どうしてそんなひどいことをして、俺まで巻き込んだんだ！」

中島泥棒猫は恐怖で震えながら、その場にひざまずいた。

「違う、私じゃない！私はただ、真希の言葉を信じただけよ。

あなたの娘が伊藤家に嫁がなければ、彼女が私を報復することもないって……」

彼女の手は床に広がり、私に謝ろうとしているようだった。

私はヒー