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第4話

父は私を俊介に会わせることを選んだ。

それは婚約を取り戻すためではなく、私に名分を与えるための懇願だった。

たとえ、俊介のそばで飼い殺しにされる女になるだけでも。

少しでも伊藤家と関係を持てば、それで十分だった。

「私のスキャンダル」のせいで、誰もが伊藤家が婚約を破棄するだろうと確信していたからだ。

そして、伊藤家を怒らせないために、父にはどの企業も資金を注入する勇気はなかった。

もしお金のためでなければ、父が私を外に出すことはなかっただろう。

俊介は確かにハンサムで裕福な上に、その振る舞いには育ちの良さが滲み出ていた。

彼が名門の家族で育ったことは一目瞭然だった。

「久しぶり、俊介」

私が先に沈黙を破った。

彼は少し眉をひそめ、コーヒーを一口飲んだ。

「願美、以前はいつも『お兄ちゃん』って呼んでたのに、どうして今はこんなに他人行儀なんだ?」

私は水を飲んでいたせいで、思わずむせそうになった。

まさか姉が彼をそんな風に呼んでいたなんて……少し気恥ずかしい。

「状況が少し違うからね。それに、今日は婚約を解消してほしいために来たの」

私は喉が少し締め付けられるのを感じながら言った。

「分かっているわ。伊藤家はきっと私が自らこの話を切り出すのを待っていたのでしょう」

彼の前に座っているのが本当に姉であっても、事実として、どんな家族であれ、未だ結婚していない嫁がこんな状況に直面したら、誰もが受け入れられないに違いない。

ましてや、今この席に座っているのは、彼と初めて顔を合わせた順子である。

しかし、俊介が次に口にした言葉は、私の予想を大きく裏切った。

「願美、もし君がネットで話題になっていた件のことを言っているなら、はっきり言って、僕は全く気にしていない。

女性の貞操は、彼女の良し悪しを判断する基準にはならないんだ。ましてや、君たちが悪いわけではない。悪いのは常にあの悪者たちだ」

私は少し驚いた。やはり、姉が好きだった男は特別だ。

「以前のことは、僕が調査させている。ホテルの監視カメラは全て削除されてしまったが、少し時間をくれれば、必ず真相を解明する」

私は思わず口を開いた。

「それで、私のことを好きだったの?」

姉の
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