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第90話

きっと私は答えを聞くのが怖いのだろう。もしそれが自分の望んでいないものであれば、またしばらくの間、心が痛むだろうから。

私は翔太兄のそばにいることに慣れてしまった。彼が突然いなくなったら、絶対に悲しくて心が痛むはずだ。

六日目の朝、寮の皆が起きている中、私は静かに寝ていた。玲奈はその時ようやく私の異変に気づいた。

実際、私は意識があった。周りの音は全部聞こえていたけれど、目を開けることができなかった。頭が痛くて、体中の骨が酸っぱくて痛んでいた。

玲奈と律子の低い声での会話が聞こえてきた。

「こんなに熱があるなんて、バカになっちゃうかもね」

「毎日風の当たる場所で座ってるんだもん、風邪ひかない方が不思議だよ。バカになる必要もないくらい、元からバカなのに」

「無駄口叩いてないで、とにかく医務室に連れて行こうよ。こんなに熱があるままじゃまずいよ」

「でも、私たち二人じゃ彼女を運べないよ。本当に、何でこんなに背が高いの?とにかく、早く誰かに手伝いを頼んで」

頭痛がさらにひどくなり、意識も次第にぼんやりしてきた。完全に意識を失う直前、誰かが必死に私の名前を呼んでいる声が聞こえた。

それは錯覚だったかもしれない。でも、翔太兄の香りがしたような気がした。

喉がカラカラに乾いて苦しくて、むせて目を覚ました。

眩しい陽光が目に刺さった。手を挙げて遮ろうとしたが、その手は誰かの大きな手に握られて持ち上がらなかった。

急いで振り返ると、私の動きに驚いて目を覚ました翔太兄が、眠そうな目で私を見ていた。いつも星が輝いているようなその瞳には、驚きと後悔の色が浮かんでいた。

本当に翔太兄だ!

「美咲、目が覚めたんだね。お水飲む?」翔太兄は疲れ果てた様子で、声もかすれていた。

「自分で取れるよ。ありがとう、翔太兄」翔太兄がようやく来てくれた。嬉しいはずなのに、ここ数日彼が姿を消していたことを考えると、不安がよぎる。

彼がただ私の病気を見舞いに来ただけなのか、それとも前のように毎日私と一緒にいてくれるのか、私は分からなくなった。

期待が怖いことだ。望んでいた結果でなければ、また傷ついてしまうかもしれないから。

ここ数日、私は考えを巡らせていた。これからは自分の力で生きていくべきだと。誰にも依存せず、誰にも期待しない。もう一度と失う痛みを味わいたくないから。

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