第491話

由佳が写真を開き、眉をひそめた。フィルターなしで見ても、確かに整った顔立ちで、彫りの深いハンサムな男性だった。

ただ、何かが引っかかった。どこかで会ったことがあるような気がしていたが、いくら記憶を探っても思い出せなかった。

ちびがベッドに飛び乗り、由佳に擦り寄ってきた。

ちびの小さな頭を撫でながら、由佳は突然ひらめいた。

彼女は思い出したのだ！

見覚えのある顔をしていた慶太は眉や目が清次に少し似ていた。

そういえば、山口家は、けんさん、次男の一郎、大兄の翔、三男の龍之介、皆がハンサムだったが、特徴的なのは淡い顔立ちだった。

だから翔は、より柔らかな印象を与えていた。

一方で、清次は山口家の中でも唯一、濃い顔立ちで、攻撃的な眉や目を持っていた。

由佳は智也の写真を見たことがあったが、翔に似ていた。

清次の眉や目は、母親譲りだろう。

清次の母親は、きっと美しい女性だったに違いない。由佳の記憶の中では、彼女は少し謎めいた存在だった。

なぜなら、清次自身さえも母親の姿を知らなかったのだ。

聞くところによると、清次は智也によって外から連れてこられたらしい。山口けんも一郎も、彼の母親を見たことがなく、生死さえ不明だという。

慶太の容姿が清次に似ていた。彼の顔立ちの彫りが深いだけでなく、特に眉や目のあたりが清次と五分ほど似ていたからだ。

調停はうまくいったが、供給業者の支払いはまだで、颯太は今もバスで通勤していた。

午後6時3分、彼はアパート近くのバス停で降り、人道を歩き始めた。

夕闇が迫り、周囲にはあまり人がいなかった。

突然、助けを求める声が聞こえてきた。「助けて！誰か、助けて！」

颯太は顔をこわばらせ、耳を澄ました。声は前方の路地から聞こえてくるようだった。

彼はすぐに駆け出して、路地の入口まで行って、中は真っ暗で、奥が見えなかった。

かすかに人影が見え、女性の泣き声が聞こえてきた。

颯太は警察に通報しながら、路地に飛び込み、大声で「やめろ！」と叫んだ。

近づくと、そこにいたのはラフな格好をした3人のチンピラで、1人の女性を囲んでいた。

女性は衣服が乱れ、恐怖で身を縮め、すすり泣いていた。

彼女は颯太の声に反応し、目を輝かせ、希望を見出したかのように顔を上げた。

チンピラの1人が振り向き、颯太を値踏みするように見た。「分か