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第458話

 二日後、由佳は斎藤陽翔が使用した不合格材料に関する二つの検査報告書を受け取った。

一つは民間の鑑定機関から、もう一つは関係当局による再検査からのものである。

二つの報告書は表現に若干の違いはあるものの、最終的な結論は同じだった――材料には問題がある。

由佳は最大の悪意をもって斎藤陽翔を推測した。彼は材料に問題があることを知っていながら、わざと知らないふりをし、さらには斎藤颯太に鑑定をさせて、自分が無知であることを立証させようとしているのだ。

以前、健二から提供された資料には、斎藤陽翔が仕事の異動を理由に家族全員で海外に移住し、最初の数年は裕福な生活を送っていたが、彼の給与では到底支えられない生活であったことが記されていた。

斉藤家は元々裕福な家庭ではなく、仮に貯金があっても多くはなかった。

徐々に生活水準は低下し、帰国前には国内にいた頃の水準に戻ってしまったと言える。

理論的には、当時斉藤家は海外に移住するために家を購入し、仕事のために海外に移住したのだから、高い給与を得て生活は良くなるはずなのに、実際にはどんどん悪化していた。

由佳は推測した。斎藤陽翔は海外では高級な仕事をしているわけではなく、裏から得た不正なお金で生活を支えていたのではないか。そのお金が尽きれば、生活の質も下がるだろう。

帰国後、斎藤陽翔は再びリフォームを始めたが、人脈と財力が不足していて、急いでお金を稼ごうと不合格な材料を使い、一部の材料費を着服してしまった。

しかし、由佳の目的は斎藤颯太の問題を解決し、斎藤颯太からより信頼されることだったので、今この時に斎藤陽翔を暴くことではなかった。

彼に知らないふりをさせ、まず不合格材料の背後にいる供給業者を暴き出そうとしていた。放っておくのは害になるだけだから。

由佳は二つの報告書の電子版を斎藤颯太に送った。「検査結果が出たよ。材料は不合格だった。おじさんは供給業者に騙されたに違いない」

斎藤颯太は報告書を見て、非常に驚いたに違いない。

チャット画面の上部には、相手が入力中であると表示されていた。

数分後、斎藤颯太が返信した。「わかった。父にちゃんと説明して、関連部門に供給業者を通報して、賠償を求めるよ」

由佳は返信した。「弁護士を探してあげようか?」

斎藤颯太は「探してもらえると助かる。父と僕は国内の事情に詳しくな
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