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第303話  

彼は背がとても高く、病床の長さはほとんど足りないほどだった。

 昏睡前に起きたことを思い出すと、由佳の心臓は一瞬止まり、慌てて清次のベッドに駆け寄り、彼の手を強く握りしめた。「清くん?大丈夫?早く目を覚まして!」

 彼女の心臓は喉元まで跳ね上がっていた。

 こんなに怖いと感じたのは初めてだった。清次が父のように、事故後に昏睡し、そのまま二度と目を覚まさないのではないかと恐れていたのだ。

 彼女は忘れていなかった。あの時、トラックは右側から迫り、自分が乗っていた助手席に突っ込んできた。

 当時、父が右にハンドルを切り、自分の体で彼女を守らなければ、父は死ななかっただろう。死ぬべきだったのは自分だった。

 今回も同じように、清次は危険を自分に背負わせた。

 まさか清次まで彼女から離れてしまうのだろうか?

 由佳がどんなに叫んでも、ベッドに横たわる清次は微動だにしなかった。

 由佳の目は涙で潤み、心の中の恐怖はどんどん大きくなっていく。「清くん、死んじゃダメ!」

 彼女はもう清次を手放せると思っていた。しかし、清次が無力にベッドに横たわっている姿を見て、彼女の心は無形の大きな手に握りつぶされるように締め付けられた。

 もし清次に何かあったら、由佳は自分を許せないだろう。

 自分は災いを招く人間で、周囲の人々に不幸をもたらしてばかりだ!

 死ぬべきだったのは自分だ!

 「泣くな、俺は大丈夫だよ」かすれた声が聞こえた。

 声を聞いて、由佳は顔を上げた。すると、清次がいつの間にか目を開けているのが見えた。

 彼は頭に白い包帯を巻き、深い眼差しで彼女を見つめていた。髪は少し乱れ、凛々しく端正な顔立ちは少し青白く、それがかえってか弱い美しさを漂わせていた。

 由佳は無意識に呆然としてしまった。

 その瞬間、自分の心臓の音が聞こえる気がした。

 「どうした?嬉しすぎて固まっちゃったのか?」清次は口元に微笑みを浮かべ、さらに魅力的だった。

 由佳は思わず唾を飲み込み、心の底から喜びと安堵が湧き上がり、視線をそらして顔の涙を拭いた。「ううん…あなたが無事なら、それでいいの」

「由佳ちゃんはどうだ?怪我はない?」

 由佳は首を振った。「ない、私は平気よ。あなたの方こそ、どこか痛むところはない?すぐに看護師を呼んでくるわ」

 そう言うと、清次の返
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Comments (1)
goodnovel comment avatar
yas
うん、まぁね…… 由佳が万が一もう一度振り向く可能性があるとしたら、清次が死ぬほどの目にあったときだとは思ってた!笑
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