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第308話  

由佳は実家を離れ、荷物を持って高村さんの住居へ向かった。

 高村さんは家族と一緒に暮らさなく、広々としたマンションに一人で暮らしており、空間が広く、眺めも良く、非常に快適だった。

 由佳は、旅行から戻ったら自分もマンションを購入して、一人暮らしを始めるのも良いかもしれないと思ったが、それはまた後の話だ。

 高村さんは既に旅行のルートを計画済みだった。

 数日前、彼女が由佳を訪ねた際に由佳のパスポートを持ち帰り、ビザを手配しており、チケットもすでに準備してあった。

 由佳は高村さんのマンションで旅行用の荷物を改めて整理した。

 その夜、由佳、高村さん、そして北田さんの三人は空港に向かい、旅行の最初の目的地であるノルウェーへと出発する準備をした。

 ノルウェーは「北への道」を意味し、北欧五カ国の一つである。冬のノルウェー旅行といえば、主にスキーとオーロラ鑑賞がメインだ。

 高村さんの計画では、彼らは主にオーロラを追いかけ、ノルウェーの文化や風景を楽しむことになっており、スキーは主な活動ではない。

 オーロラは、地球の南北極近くの高空で夜間に現れる壮大で美しい自然現象で、様々な色彩が変幻自在に輝く様は言葉では表しきれないほどだ。

 由佳はこれまで写真でしか見たことがなかったので、高村さんの計画を聞いたとき、すぐに心を惹かれた。

 搭乗口で、高村さんはスマホの地図を拡大しながら、興奮気味に説明していた。「…まずオスロで二日間遊んで、それからトロムソに行ってオーロラを追いかける。それからレンタカーでサマーアイランドやリンゲヴァス島に行って、次はクルーズでスヴォルヴァーに向かうの。そしてロフォーテン諸島に着いたら、またレンタカーで五日間のドライブをして、帰りにサンクトペテルブルクに寄って、そこで数日間過ごすのはどう?」

 「いいね、あなたに任せるわ」と由佳が答えた。

 北田さんは日程を確認して、「これだと往復で半月くらいになるな。ちょうど有給が全部使い切れる」

 「それなら、サンクトペテルブルクから帰ればいいわ。私は由佳ちゃんと一緒にもう少し旅行を続けて、元旦まで遊んで帰るわ」高村さんはそう言ってから、由佳に尋ねた。「由佳ちゃん、行きたいところはないの?」

 由佳は少し考えたが、首を振った。「特にないわ。任せる」

 高村さんは由佳の腕を軽く振り
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