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第28話

 何時間経ったかわからないが、由佳は暗闇の中で目を覚ました。最初に感じたのは消毒液の匂いだった。

由佳は目を開け、周りを見渡すと、自分が病院の病室にいることがわかった。

「由佳、目を覚ました?気分はどう?」

目を覚ました由佳の目の前には、山口清次の凛々しい顔があった。

由佳は無意識に手を腹に当てた。

「まあまあ。」と言った彼女は窓の外を見た。もう夜だ。

そのとき、彼女のお腹が音を立てた。

「お腹が空いたのね、食べる物をもらってこようか?」

「遅すぎるかもしれない、今かなりお腹が空いているから、買って来てくれる?」由佳は彼を見上げて尋ねた。

山口清次は初めて由佳がこんなに素直で柔らかい表情を見せるのを見た。「いいよ、買ってくる。病室で気をつけてね、何かあったら看護師を呼んで。勝手にベッドから出ないでね。」

由佳は頷いた。

山口清次が行った後、由佳はベルを押した。すぐに看護師が来た。「何か必要ですか?または体のどこかが気になるところがありますか?」

「看護師さん、私の赤ちゃんのことが知りたいのですが…」

「安心してください、赤ちゃんは大丈夫です。ただ現在、胎児が不安定で、足首を捻挫していますので、しばらくベッドで休んだほうがいいでしょう。明日には退院できますよ。」

由佳は望んでいた答えを聞いてほっとした。「分かりました、ありがとうございます。」

「どういたしまして。お腹の中の赤ちゃんのために、内服薬はお渡ししていませんが、外用薬を処方しました。捻挫した足首に塗って、定期的に交換してください。明日には退院できます。」

「わかりました、ありがとうございます。」

間もなく、山口清次が帰ってきた。

彼は病院の食堂で食事を買ってきた。肉料理と野菜料理、スープ、ご飯に梨と牛乳が添えられていた。

由佳はお弁当を開けて食べ始めた。「それじゃ、あなた先に帰ったらどう?看護師さんがいるし、明日私を迎えに来てもらえばいいわ。もし明日忙しかったら、運転手に来てもらってもいい。」

「ここで一緒にいるよ。足が痛いんだから、ひとりでここにいるのは不便だろう。着替えを持って来るようにすでに運転手に電話をかけた。」

由佳は心温まる感じがして、「ありがとう。」と言った。

突然、山口清次の携帯のベルが鳴った。

彼は携帯を取り出し、画面を見て、電話に出た。「
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