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第99話

翌日は土日だった。

田中健太は、義父の引っ張り合いで、早くから車で骨董品街に行った。

義父は元気いっぱいで、車を降りるなり田中健太に手を振って言った。「さあ、どんなものかを見せてやる」

そう言って、大きな足取りで骨董品の街へと向かった。

田中健太は素早く追いかけて、歩きながら周囲を見回した。

土日になると、骨董品の街には普段より多くの人が集まる。

両側には、骨董品や玉製品を扱う店が密集していた。土日に出店する屋台も密に並び、通りが込み合っていた。

また、多くの小売業者がプラスチックシートを地面に敷き、様々な骨董品や玉製品を並べて、そのまま露店で商売を始めた。

田中健太は軽く一瞥しただけで、ほぼ本物が見当たらなかった。悪徳の商人たちは素人や観光客をだましているものばかりだ。

偽物を購入した多くの観光客は、蚊帳の外に置かれ、模造品を手に取って喜んでいて、儲けたかのように振舞っていた。

「ここだ!」

佐藤太郎は足を止めて、地味な露店の前に立ち、興奮を隠せない表情を浮かべた。

露店のそばには数人の観光客がいて、骨董品を選んでいる。佐藤太郎は遅れまいとすぐに人ごみを押し分けて入った。

田中健太はさっと見渡すと、この露店はただ地面に油紙を敷いて、泥だらけの十数個の骨董を並べただけだ。青花馬、五帝の銅貨、銅の酒杯、血玉の腕輪、黄ばんだ絵や書法などがある……

品がズラリと並び、何でもそろっているが、田中健太はただ軽く見ただけで、すべて偽物だと気づいた。

露店の店主は、肌が黒くて小柄な男で、青色の粗い布の服を着て、髪は油っぽく乱れていた。見た目はとても素直で正直そうに見え、非常に無口な印象を与えていた。

「これを見ろ!」佐藤太郎は興奮して田中健太を呼び止めた。色とりどりの、お腹が大きく口が細い瓶を指さし、声を低くして話しかけた。「これが二つのカップとセットになる酒樽だ!これを買ってセットにすると、価格は二倍になるんだぞ!」

田中健太はその酒樽を一瞥して、手で量ってみてから、頭を上げて店主に尋ねた。

「これ、いくらですか?」

店主は目を丸くして、愚かな表情で言った。「俺の親父の話によると、最低でも40万円だ。でも一銭足りなければ売らない!」

それを聞いて、佐藤太郎は大笑いして、すぐ田中健太に言った。「この店主は物を見る目がないんだから、他の人が
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