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第 0328 話

海咲は歩み寄り、ショッピングバッグからドレスを取り出した。

それは深い墨緑色のドレスで、裾が広がり、オフショルダーのデザイン。生地の感触もとても良い。最近彼女が読んでいたファッション誌に掲載されていた有名デザイナーのオートクチュールだった。

デザイナーの名前は忘れたが、彼女がデザインする服はいつも100万以上するものばかりだと知っていた。

彼女はふと、淡路美音のドレスのことを思い出した。それは州平が100万円で購入したものだった。

海咲は彼を見つめ、尋ねた。

「随分お金をかけたんじゃない?」

州平にとってお金はただの数字にすぎない。彼にとって大切なのは海咲が喜ぶことだった。

「見た瞬間、君にぴ
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