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第 0330 話

Author: 水原信
どうして今まで彼から聞いたことがなかったのだろう。

多分、そもそも彼らの関係は契約によるものだから、互いに干渉しすぎないのが基本だ。

彼もまた、全てをさらけ出すことはできなかったのだろう。

海咲は考えを切り替え、視線を戻した。

突然、誰かが場を取り繕うかのように、耳元で声が響いた。

「尾崎さん、私たちは皆、あなたのご意向は理解していますよ。悪意で言っているわけではないんです。ただ、事実が目の前にある以上、神田さんがあなたのために不満を抱いているのも無理はありません。なんせ、州平はあなたをあまり気にかけていないようですからね」

海咲は、この人たちがどうやら州平に執拗に絡んでいることに気づいた。

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