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第 0034 話

美音は立ち止まり、無理やり笑顔を作って振り返った。

「叶野おばさん、他に何か御用ですか?」

紫は彼女を見つめて言った。

「あなたも服を買いに来たのね。このコート、自分用ではないわね?」

美音の顔がこわばった。

「他の人に買ってあげるんです」

紫は彼女を見抜いたが、それを言わず、腕を組んで冷たく言った。

「淡路さん、あなたも有名人として、自分が何をすべきか、何をすべきでないか分かっているはず。いくつかのことは言わないけれど、淡路家の顔を立てて見逃しているだけよ。でも、もしそれが明るみに出たら、後悔することになるわ。私は淑子とは違うから、好き勝手させないわよ」

美音の顔色は悪くなり、言われたことに
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