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第243話

「お前、遠藤西也とは前から知り合いだったのに、俺には学校で知り合ったって言った。これが嘘じゃなくて何なんだ?」

「私......」この話題が出ると、若子は言葉に詰まった。彼は一体何度このことを持ち出すつもりなのだろう?

「藤沢修、そんなに意地悪でなきゃ気が済まないの?」

「俺が意地悪なのか?それともお前が嘘をついたのか?後で自分で認めただろう?お前はとっくにあいつと関係があったって。これはお前の口から言ったことだ、俺の妄想じゃない!」

「......」

若子が確かにそう言ったことがあるのは事実だった。しかし、それは彼女があまりにも腹が立って、口走った言葉にすぎなかった。

若子はベッドの端から立ち上がり、「じゃあ、あんたが言いたいのは、おばあちゃんに言ったことは全部本心じゃなかったってこと?」と問いただした。

「そうだ。俺はただ、おばあちゃんをなだめるために、自分が全部悪いってことにしただけだ。そうすれば、俺がクズだと思われずに済むかと思った。でも結局、叩かれたんだから意味がなかった。最初から言わなければよかった、無駄な時間を過ごして、殴られただけ。ついてねえ」

その言い方は、どこか投げやりで不機嫌そうだった。

若子は拳を強く握りしめた。おばあちゃんがあの言葉を言ってくれたとき、本当に心から感動していたのに。

藤沢修は普段は彼女と喧嘩ばかりしていたが、本心はわかっている人だと思っていた。ただ、怒りに任せて口が悪くなることがあるだけで。

しかし、今になってわかった。彼が言ったのはすべて嘘だったのだ。

まあ、それも仕方ない。二人はもう離婚しているのだから、彼の心の中がどうであろうと気にすることはない。

若子はため息をつき、「私が考えすぎたわ。でも、こうなってよかったのかもね。私たちはもう離婚してるんだし」と、静かに言った。

この世の中に、そんなに簡単にきれいに別れられる関係がどれだけあるだろうか。

あれだけのことがあったからこそ、どうしても一緒にいられなくなって別れるのだ。きれいに出会うことさえ難しいのに、きれいに別れるなんて、もっと無理な話だ。

「安心しろよ、俺はすぐに出て行く。この家はお前のものだ」と修は続けた。

「必要ないわ」若子は首を横に振った。「あんたがここに住んでればいいのよ。どうせ私はもうここには住まないし。じゃあ、私はこれ
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