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第250話

「私は修と確かに別れました。今はここには住んでいません。今日は荷物をまとめに来たついでに、修の様子を見に来ただけです」と、松本若子は説明した。

伊藤光莉は眉をひそめ、「そうなの?ついでに彼を見に来たって、それでついでにドアも閉めずに、二人きりでいちゃついてたの?」と皮肉を込めて言った。

松本若子の顔が赤くなった。「お父さん、お母さん、見たままのことではないんです、私は......」

「もう、言い訳はしないで」と、伊藤光莉は彼女の言葉を遮った。「どういう状況でも、あなたたちが仲良くしているのは事実よ。離婚したのに名残惜しいのなら、何で離婚なんてしたの?」

「私......」

伊藤光莉の言葉には鋭い攻撃性があり、松本若子はどう優しく対応すればいいのか分からなかった。

「なんで黙ってるの?それとも、もっとスリルを求めてるのかしら。離婚したら自由の身だから、外で遊びながらも修とも遊べるって?」と、

彼女の声はどこか陰湿で皮肉めいていた。

松本若子の胸には不快感が湧き、彼女は微かに眉をひそめた。できるだけ冷静で礼儀正しくあろうと努めながら、「そんなつもりはありません。どうしてそんな風にお考えになるのか分かりませんが、私は自分の行動に誇りを持っています」と答えた。

彼女の心には藤沢修というたった一人の男性しか存在しなかった。何もやましいことはないはずなのに、誤解されるのはとても辛かった。

「まだそんなに偉そうに言えるのね」と、伊藤光莉は冷たい目で別の場所をちらりと見てから、無表情に戻り、「あなたのことを以前は少しまともだと思っていたけど、結局はそれほどでもなかったのね。離婚したのに、まだ息子に絡んで、真昼間にドアも閉めずにね。恥知らずだわ」と言い放った。

松本若子の心はまるで崖から真っ逆さまに落ちるような感覚に襲われた。

なぜ義母がこんなにも違って見えるのか。

まるで別人のように、とても意地悪で、まるで典型的な「悪い姑」そのものだ。

以前の伊藤光莉はそんな人ではなかったはずで、むしろ知的で穏やかな人だった。だが今日は全く別人のようだった。

藤沢曜は口を開きかけたが、伊藤光莉の冷たい表情を見ると、言葉を飲み込んでしまった。

まるで尻込みするようで、情けなく見えた。

松本若子は深く息を吸い、心の中の感情を抑えようとした。

もしかしたら、今日は伊藤
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