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第054話

松本若子は急救室から出てきた後、完全に混乱した状態だった。耳元で誰かが話しているのが聞こえたような気がしたが、まぶたが重くて開けることができなかった。

2時間後、彼女は悪夢から目覚め、急に目を開いた。夢の中で子供を失ったため、怖くて飛び起き、反射的にお腹に手を当てた。

「子供、私の子供は?」

「若子、子供は無事よ」田中秀が彼女の手を握りしめた。

松本若子は、友人がそばにいることに気づき、彼女の言葉を聞いてほっと息をついた。

「ごめんね、赤ちゃん。本当にごめん。無事でよかった。ママが悪かった、もう二度とバカなことは言わないから!」

田中秀は彼女の涙を拭きながら言った。「泣かないで。流産の兆候があるから、絶対に感情的になっちゃダメよ。これから数ヶ月、しっかり安静にして過ごしてね。ベッドで休んで、栄養バランスも大事だし、激しい運動なんか絶対しちゃダメ」

松本若子は力強くうなずいて、「わかった、絶対にしっかり休む!」と言った。

子供が無事だと知り、松本若子は大きく息をついたが、それでも涙が止まらなかった。

その時、松本若子は病室に入ってくる男性の姿に驚いた。「遠藤さん、どうしてここに?」

遠藤西也は果物を手に持ち、それをベッドサイドに置いた。「電話で君がかなり焦っているようだったから、心配で様子を見に来たんだ」

「若子、あなたが急救室にいる間、遠藤さんはずっと心配して待ってたのよ。まるであなたの旦那さんみたいにね」田中秀は楽しそうに言った。

松本若子の表情が硬くなり、少し困った様子で言った。「秀ちゃん、そんなこと言わないで。彼は… 彼はただ…」

松本若子は遠藤西也をどう紹介すればいいのか困惑していた。友達というにはまだ距離があるが、完全に他人でもない。

「僕は彼女の友人だよ」遠藤西也が前に進み、「ただ、最近知り合ったばかりだけどね。松本さん、そうだろ?」

松本若子はうなずき、「そうよ」と答えた。

彼女は少し気まずそうにしていた。遠藤西也をどう紹介すればいいのかわからなかったことが失礼に感じた。

田中秀は小声で彼女にささやいた。「ねぇ、あんたの周りにはイケメンばっかりね。彼と旦那、どっちがカッコいいと思う?」

「旦那」という言葉を聞いた瞬間、松本若子の胸に悲しみが込み上げ、ようやく止めた涙がまた流れ出した。

「どうしたの?」田中秀は慌てて
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