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第055話

藤沢修はベッドに横たわりながら、何度も寝返りを打っていた。

若子が出て行く前に言った言葉を思い出し、心が締め付けられるように苦しく、まるで胸に大きな穴が開いたかのように何かが欠けた感じがして、様々な感情が彼をかき乱し、眠ることができなかった。

彼は布団をめくり、ベッドから降りて、松本若子の部屋のドアの前に立った。しばらくの間、迷った末に、そっとドアをノックした。「若子、寝てるか?」

中は静まり返っていた。

もう夜遅いし、彼女はもう寝ているはずだ。

彼は一度その場を離れようとしたが、どうにも不安が拭えず、再びドアをノックした。「若子、話があるんだ。中に入ってもいいか?」

それでも返事はなかった。

彼はため息をつきながら続けた。「今、俺の顔なんか見たくないだろうって分かってる。でも、謝りたいんだ。今日、あんな言い方するべきじゃなかった」

「今日一日、俺は間違ってばかりだった。言うことも、やることも全てが間違いで、お前を傷つけた。本当にすまない。俺は、いい男なんかじゃない。それはよく分かってる」

「もしも、もう一度やり直せるなら、最初からお前にちゃんと話していただろう。絶対にお前を傷つけたりしなかった。だけど、残念ながらやり直しなんかできないんだよな」

「中に入れてくれないか?ちゃんと話したいんだ。お互い冷静になって、言いたいことを言い合おう。もう喧嘩はしたくない。俺たちの間には誤解があると思うんだ。それに、あの玉のブレスレットのことだって、俺が自分で選んだんだ。誰にも聞いてないんだよ」

「若子」彼はもう一度ノックした。「返事がないなら、入ってもいいってことだよな?じゃあ、入るぞ」

藤沢修はドアノブを握り、ドアを開けた。

部屋の灯りはついていたが、誰もいなかった。ベッドの掛け布団は乱れており、彼女がいた痕跡は残っていた。

彼は浴室の方へ向かい、ドアが開いているのを確認したが、中には誰もいなかった。

藤沢修は不安になり、彼女がいないことに焦りを感じた。この遅い時間に彼女はどこへ行ったのか?彼は家中を探したが、彼女の姿はどこにもなかった。

その時、まだ寝ていなかった使用人が通りかかった。「旦那様、何かご用ですか?」

「若子を見かけなかったか?」彼は眉をひそめて尋ねた。

「奥様が車に乗って出かけたのを見ました」

「どこに行くって言ってた?」
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