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第8話

私の遺体が見つかったことで、当然撮影は続行できなくなった。お父さんは、美羽から誘われた食事も断り、久しぶりに自宅へと戻った。

玄関のドアを開けると、中は真っ暗。そこには、かつてお父さんが帰ってくるのを待っていた私の姿も、もうなかった。

「詩凜......家にいるのか?」

お父さんは手探りで電気をつけ、空っぽの部屋の中で、私の名前を呼び続けていた。

彼にしてみれば、自分が少しでも優しい顔を見せれば、私が必ずすり寄ってくると思っていたのだろう。実際、以前の私はその通りだった。愛されたいと願って、どうしても期待してしまっていたから。

でも、もう何度呼んだって、私は返事をしない。お父さんはどこか諦めきれないような顔をして、再び名前を呼んだけれど、静まり返った空間には彼の声が虚しく響くだけだった。

誰もいないはずの部屋の中で、私は彼の目の前に立っていた。だけど、もちろん彼には見えない。お父さんのそんな姿を見ていると、心が少しだけ痛んだ。

私なんていなくてもいいんじゃなかったの?外で死んでくれたほうがいいって言ってたのに......どうして今さら、私を呼ぶの?

お父さんは疲れた様子でソファに腰を下ろすと、眉間をもみほぐしてから、ふとスマホを取り出して画面を見た。

お父さんが何を見ているのか、私には分かっている。この時間になると、私はいつもお父さんにメッセージを送っていた。今日あった出来事を長々と書き連ねて、最後に「お父さん、大好きだよ」って言葉で締めくくっていたから。

でも、ここ数日、そんなメッセージは一度も届かなかった。

通知欄には、いくつかのグループチャットのメッセージ以外、何もなかった。イライラしたようにお父さんはスマホを放り投げ、立ち上がるとそのまま私の部屋へと足を運んだ。

お父さんは部屋の中をじっと見渡し、何か痕跡を探し出そうとするように、すみずみまで目を配っていた。

私の部屋に入ったのはこれが初めてだ。彼は私にこの家を与えたあとも、ほとんど帰ってくることがなかったし、帰ってきても自分の書斎にこもりっきりで、私の部屋に踏み入れることなんて一度もなかった。

まさか、私が死んでから初めて来るなんてね。

数歩で私のデスクまで歩み寄ったお父さんは、机の上に置かれた数枚の紙に目を留めた。それは、私の診断書だった。

お父さんはその紙を手に取ると、何
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