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第6話

美羽の悲鳴が聞こえたのか、お父さんが撮影を中断して駆けつけてきた。

美羽の足に深い傷がついているのを見た瞬間、お父さんの顔はさらに険しくなり、冷たく言い放った。

「何があった?」

私は頑なにその場に立ったまま、少しも引く気はなかった。だけど、お父さんの視線は一度も私に向けられなかった。私の存在に気づきさえしなかったんだ。

だから私は、前に一歩出て言った。

「私がやったの。それに......彼女の自業自得」

美羽は泣きながら私をにらみ、怒鳴り声で言い返した。

「私、詩凜ちゃんに親切で飲み物を持っていってあげただけなのに......なのに詩凜ちゃんったら、怒って瓶を投げつけてきたの!

詩凜ちゃん、私が本当に親しい妹だと思って接してたのに、こんなことされて、傷ついたよ......」

泣きながら美羽が弁解すると、周りはすっかり彼女の味方のようだった。もう私が何を言っても意味がない。だって、どうせお父さんは私の言葉を信じないんだから。

お父さんはきっと、私が生まれつきの悪者で、嘘ばかりつく人間だと決めつけている。だから、私は目を伏せて、お父さんと美羽の仲睦まじい様子を見ないようにして、ただ静かに伝えた。

「私......病気なんです。医者にかなり重い病気だと言われて、お金がないと治療できないんです」

お父さんは私を一瞥し、冷笑を浮かべて言った。

「お前みたいな、陰険で嘘つきな娘を持って、本当に恥ずかしいよ。

また新しい手口で金をせびろうってか?

まあ、金をやるのはやぶさかじゃないが......その前に、美羽に謝るんだ」

私は拳を握りしめ、全身が冷え切っていくのを感じた。

お父さんは母さんを憎み、私にも嫌悪感しかないのは知っている。

それでも今まで、お金で私を締め付けることだけはしなかった。きっと、お金を与えることで、親子の縁を買い取ろうとしていたんだと思う。だから私は、何があってもお父さんを頼らずにここまできた。

でも、今回お父さんは違った。ただ金をやるために、私に美羽に謝らせようとしている。お父さんの目には、私が金のためなら平気で頭を下げる人間に映っているんだろう。

だから、私が何のために金を欲しいかなんてどうでもいい。お父さんはただ、自分の思うままに私を屈服させたいだけ。

金を使って、私の尊厳を踏みにじりたいんだ。美羽の前で、私を
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