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第20話

小満の節、夏の2番目の節で、梅雨入りで大雨が多かった。

退院後、辰夫がよく時間を作って見舞に来た。

睡眠薬の後遺症で、紗枝の体の具合は以前よりも悪化した。

でも、精神的には良くなり、食欲がなくても、無理に多く食べるようにした。

辰夫がいるとき、啓司の事、一度も触れなかった。

好きな人、心に閉じ込めて、長くなるほど、痛みがひどくなるだけだった。

友達にネガティブなところを見せたくなかっただろう

一人のとき、紗枝は啓司のラインのタイトル写真をぼんやりと見つめていた。

どうやって離婚のことを話しかけるのか迷っていた。

ある日。

紗枝が野菜を買って、戻ろうとしたとき。

彼女の前に人影が現れた。

サングラスにマスク、長い髪に鮮やかなロングドレス、ハイヒールをして、勢いのいい葵だった。

「紗枝、生きていること、お母さん知ってるの?」葵は目を細めて言った。

葵にこんなところで会うとは思わなかった。

二人は静かなカフェ店を見つけて、窓際に座った。

雨の粒が窓ガラスを叩いた。

葵はマスクを外し、繊細な顔を見せた。「安心して、和彦から聞いた。太郎が小林社長のお金をもらって、お母さんと逃げ出した。もう二度と邪魔しに来ないと思うわ」

紗枝は前に辰夫からすでに聞いた。

美希と太郎は、自分が約束通りに小林家に嫁がなかったことで、やり返されると心配して、慌てて海外に逃げだした。

前にはこの町の権勢ある大金持ちが、ただ300億円で、野良犬になったって、思いもよらなかった。

紗枝は静かに聞いて、心に何の波乱もなかった。

「何を言いたいの?」

葵の視線はいつの間にか紗枝の腹に向いた。外見から妊娠とは見えなかった。

手を握り締めて、その場で妊娠のことを暴かなかった。

「言って、どうすれば啓司から離れるの?

「数字を言え、やるよ」

大袈裟だったね。

紗枝は不意に笑った。

落ち着いた眼差しで葵を見つめて言った。「啓司と結婚して3年、共有資産と言えば1000億円を超えるだろう。出せるの?」

いくらスターであっても、そこまで出せないだろう。

しかも、葵はただ海外留学して、肩書を立派にしただけで、中身はクズだらけだった。

葵は紗枝の軽蔑な目つきを見て唇を噛んだ。

目前の女、元々夏目家の大切なお嬢様だった。お金は彼女にと
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