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第17話

「わかった」

太郎は辰夫に向かって歩き出し、紗枝を奪おうとした。

手が伸びた途端、辰夫に力強く蹴飛ばされた。

バタンと音を立てて、太郎は数メートル先に倒れ、手でお腹を抱え込み、痛くて話すことができなくなった。

美希が慌てて息子を引き起こそうとした。それと同時に、辰夫を睨んで言い出した。「息子を蹴り飛ばすのか?」

辰夫は紗枝を抱え上げ、冷たい目つきで親子を睨み返した。

雨水が髪の毛からぽつりぽつりと落ちていた。

親子の前までに来て、一変して修羅みたいに、ゆっくりと言葉吐き出した。

「しーねーえ!」

親子は驚かされてしばらく何も言えなかった。

辰夫は紗枝を抱えながら、美希に忠告してやった。

「紗枝の遺言書には、貴方との約束の録音があった。今後、一切関係ない事、お忘れないで」

紗枝が死んでも、彼女の娘になりたくなかった…

録音が法的効力を持たないこと、親子の関係を断ち切ることに影響しないこと、紗枝は知っていた。

でも、彼女は美希がどんな人なのかをもっとよく知っていた。

美希は面子が一番大切と思っていた。

もしこの録音が公開されたら、彼女は娘を殺した罪を背負うことになる。

辰夫の脅しで、美希は怪我した息子と一緒に離れた。

車に乗り、バックミラー越しに辰夫の腕にある活気のない娘を見て、美希は力込めて拳を握り締めた。

「お母さんを責めないで、責めるなら自分を責めろう。啓司の心を掴めなかった。

「この結果、君の自業自得だ」

一瞬だけ心が痛かったが、すぐ冷酷な彼女に取り戻した。

娘の死より、小林社長への対応が最も重要になった。

辰夫は紗枝を近くの病院に連れて行った。

オペ室に運ばれた紗枝を見届けた。

手術中の3文字を見て、彼が緊張して、うろうろ廊下を歩いた。

手術が1時間続いたとき、お医者さんが出てきた。「患者の様子が危篤で、家族の方はどこにいますか?」

辰夫ドキッとした。

「彼女は…どうなったの?」

「家族の方ですか? 患者は危篤で、術式変更承認書にサインをお願いします。最大の努力するつもりですが…」とお医者さんが言った。

辰夫が喉を締められたようになり、元の優しさを一変し、襟元を掴んでお医者さんを持ち上げた。

「危篤なんかあり得ない。彼女を治せなかったら、皆に死んでもらうぞ!」

お医者さんを押し
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